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「WAVES/ウェイブス」 2019

WAVES/ウェイブス(字幕版)

★★★☆☆

 

あらすじ

 裕福な恵まれた家庭で育ち、将来を嘱望されたレスリング選手だった高校生は、怪我をきっかけに転落していく。

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感想

 恵まれた環境で育った高校生が、怪我をきっかけに転落していく。レスリングが出来なくなって自暴自棄になり、悪い遊びを覚え、恋人の関係にも亀裂が生じてしまう。典型的な破滅の道だ。

 

 ただ元々は理想的な生活を送っていたのだから、恋人との関係悪化のきっかけとなった出来事は、自堕落な生活を送るようになってから起きた方がしっくり来たかもしれない。だが悪いことが重なるのはあるあるなので、これはこれでありなのか。

 

 

 映画で見られるような、アメリカ人の何事にも前向きに取り組もうとする精神は素晴らしい。やるかやらないかは自由だが、やると決めた以上は全力で取り組む。やりたくないけどやっている、という言い訳の余地を残さない。そんな言い訳をしながら生きることがないだけでも幸福度は上がりそうだ。

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 だがこれが主人公を追い詰めてしまった。幼い頃からお前は出来ると言われ続けた男が挫折を味わうと、立ち直るすべがない。出来るはずのことが出来なかったのだから、もう自分は駄目だと思い込んでしまうのだろう。アメリカ的精神の負の側面だ。主人公は破滅的な結末を迎える。

 

 この映画は2部構成となっており、後半は兄を間近で見ていた妹を主人公にして、兄の起こした事件がきっかけで崩壊してしまった家族が再生する様子が描かれる。兄の事件も小さな出来事の積み重ねから起きたことだが、家族の再生もまた同様の積み重ねから起きた。そのきっかけが、妹が恋に落ちたことだったというのが面白い。人生は何がきっかけとなるか分からない。

 

 そして再生には、家族のメンバーそれぞれにポジティブな感情が再び蘇ったことが何よりも大きかった。誰か一人でもネガティブな気持ちのままでいたら、崩壊したままだっただろう。負の側面はあるにしろ、やはり前向きな姿勢は大事だ。

 

 全編で音楽が流れ、物語の重要な要素になっている映画だ。一度、ミュージックビデオのようになったシーンはあったが、全体としてはそこまで音楽に頼りっきりではなかったのは好感が持てた。ただ自分にはあまり音楽と物語がそこまで効果的にシンクロしているようには感じられず、あまりピンとこなかった。使われていた楽曲の歌詞をもっとよく理解できれば、また違った感想になるのかもしれない。

 

 

スタッフ/キャスト

監督/脚本/製作/編集 トレイ・エドワード・シュルツ

 

出演 ケルヴィン・ハリソン・Jr/テイラー・ラッセル/ルーカス・ヘッジズ/アレクサ・デミー/レネイ・エリース・ゴールズベリイ/スターリング・K・ブラウン /クリフトン・コリンズ・Jr /ハーモニー・コリン

 

音楽 トレント・レズナー/アッティカス・ロス

 

撮影 ドリュー・ダニエルズ

 

WAVES/ウェイブス(字幕版)

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WAVES/ウェイブス - Wikipedia

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