★★★☆☆
あらすじ
音楽業界に生きる人々の人間模様。
感想
しっかりと物語を紡いでいくのではなく、断片的な映像を積み重ねていくスタイルの映画だ。確かにストーリーは分かりづらいのだが、全く分からないというほどではない。音楽業界で生きる人々の恋愛を中心に、夢や仕事、友情、家族などが美しい映像で詩的に描かれていく。
おそらくしっかりと描いてしまうと、とてもベタな内容になってしまいそうな物語だ。あまり難しく考えずに気楽に見た方が良いような気がする。抽象度が高いからこそ、ありきたりな展開に飽き飽きすることなく見ることできるとも言える。それからタイトル的に、劇中で使われていた曲の歌詞は重要な意味を持っていそうだ。
映画の舞台はテキサス州の都市オースティン。知らなかったが、年間を通じてたくさんのフェスやライブが行われる音楽の街だそうだ。劇中でもフェスのシーンがたくさんある。そして、レッチリのメンバーやイギー・ポップ、パティ・スミスなど、なぜか音楽界の大物たちが多数カメオ出演しているので、それも見どころの一つとなっている。
業界の成功者を中心とした物語なので、彼らのセレブな暮らしぶりが映し出される。街を見下ろせる小高い丘や高層ビルの上階など高い場所のシーンが多いのは、そんな彼らの少し浮ついた暮らしぶりを表現しているのかもしれない。夢を掴みかけた男女のシーンも通りを見下ろせる2階のベランダだったりして、地上よりも少し高い所が多かった。考えてみれば金持ちは高い所に集いがちかもしれない。
逆に、男と別れて悲しみに暮れる女性のシーンでは、見上げるようなショットが多かったのが印象的だった。失意の底にいることを表しつつ、本来は手の届かないはずのものを背伸びして無理やり取ろうとしていた事も示しているように思えた。
地に足をつける事の大事さと共に、首が痛くなるほど上を見上げるのもあまりよいことではないと示唆するようなエンディング。人生で重要なのは、まっすぐ前を見て、浮足立たずに着実に進んでいくことだ。
スタッフ/キャスト
監督/脚本 テレンス・マリック
出演 マイケル・ファスベンダー/ライアン・ゴズリング/ルーニー・マーラ/ナタリー・ポートマン/ケイト・ブランシェット/リッキ・リー/ヴァル・キルマー/ベレニス・マーロウ/ホリー・ハンター/トム・スターリッジ/オースティン・アメリオ/リンダ・エモンド/フローレンス・ウェルチ/パティ・スミス/イギー・ポップ/アラン・パロモ/フリー/ジョン・ライドン/スパンク・ロック/テガン・アンド・サラ/アンソニー・キーディス/チャド・スミス/ジョシュ・クリングホッファー
撮影 エマニュエル・ルベツキ
ソング・トゥ・ソング 【字幕版】 | 映画 | 無料動画GYAO!