★★★★☆
あらすじ
麻薬強奪事件で逃走中に複数の警察官を殺した犯人たちを、朝までにつ刑事。
感想
殉職した父を持つ正義感の強い刑事が、警官殺しの逃走犯たちを追う。ニューヨークのマンハッタン島で事件が発生し、島にかかる21の橋をすべて封鎖したのでこのタイトルが付けられているが、あまりそれは内容とは関係なかった。犯人たちが封鎖を突破しようとするわけでもなく、ただ粛々と追い詰められていく様子が描かれていく。
捜査が進展する中でそれを指揮する主人公は、指示を無視して前のめりに行動する警察官らに違和感を覚えている。一応、彼らの同僚が大勢殺されたから怒りで自制が利かない、という風にしているが、犯人の関係者を発見した瞬間に射殺するなど、いくらなんでも度が過ぎていた。主人公でなくても、普通にこれはおかしいと勘付いてしまう。当然、これらは伏線となって終盤に響いてくる。
それに仲間を殺されたのだから仕方がない、という言い分は分からないでもないのだが、逆にそれならいつもは被害者が身内じゃないので適当にやっているの?と思ってしまうので、こういうのは好きになれない。家族や友人には熱心に良い物件を紹介するが、普通の客には適当な対応しかしない不動産屋がいたら嫌だが、それと同じだ。
思っていたよりもあっさりと犯人の件は片付いてしまい、物語は別の様相を呈してくる。それも割と展開が早くあっさりとしていたが、本気になったときの警官の有能ぶりばかりが際立っていて、だから普段からそれくらいしっかりやれよ、と腹立たしさを覚えてしまった。
ただ、主人公が脅されながらも最後まで強気でいられたのは、正義は為されると無邪気に信じられているからだよなと思ってしまった。組織の末端が腐っても、トップに至るまでのどこかでストップがかけられるはずだと信じている。
これでトップまで腐っていたら最悪だが、もしそうだとしたらその国家組織は最強の犯罪組織だろう。もはや誰も止めることが出来ないし、主人公のように止めようとする人すらいなくなる。つまりは腐敗国家だが、案外、そうなるのはそんなに難しいことではないような気が最近はしてしまっている。特にトップにモラルがなく、率先してやりたい放題やっている国ではそうだろう。なんだか主人公のその何の疑いも持っていない純粋さが羨ましく思えた。
なんとなく展開が読めてしまう映画ではあったが、いい緊張感が続いてダレることがなく、飽きることなく楽しめた。
スタッフ/キャスト
監督 ブライアン・カーク
脚本 アダム・マーヴィス/マシュー・マイケル・カーナハン
製作 アンソニー・ルッソ/ジョー・ルッソ/ローガン・コールズ/ジジ・プリッツカー/ロバート・シモンズ
製作/出演 チャドウィック・ボーズマン
出演 シエナ・ミラー/ステファン・ジェームス/キース・デイヴィッド/テイラー・キッチュ/J・K・シモンズ/アレクサンダー・シディグ