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個人的な映画・本・音楽についての鑑賞記録・感想文です。

「赤ちゃん泥棒」 1987

赤ちゃん泥棒 [DVD]

★★★☆☆

 

あらすじ

 元強盗と元警官の夫婦はなかなか子宝に恵まれず、ニュースになっていた地元の富豪に生まれた5つ子のうちのひとりを盗み出すことを思いつく。原題は「Raising Arizona」。

 

感想

 刑務所の出入りをくり返していた主人公は、その手続きを担当していた女性警察官と恋に落ちて結婚する。そしてまともに働き始め、次は子作りと張り切るのだがなかなか子供は出来ず、やがては妻の不妊が発覚して夫婦は落ち込んでしまう。これらの流れがテンポよく描かれていく。だがあまりにもテンポが良すぎて、どうにも落ち着かない。そして最後までこの調子なので、終始そんな気分のままでいることになってイマイチ映画に入り込めなかった。もうちょっと緩急が欲しかった。

 

 この映画はコメディ映画なので、最初の二人の結婚のくだりなど、随所に面白い場面はあるのだが、あまり気分が乗っていないので笑えないことの方が多かった。それに、赤ちゃんの子育てにまつわる笑いが散りばめられているのかと思っていたのに、そういうわけでもなかったのは拍子抜けだった。

 

 ただそんな低調な空気も、ジョン・グッドマンらが演じる二人組の脱獄囚に赤ちゃんが奪われてからはだいぶ面白くなってきた。自分がイメージするコーエン兄弟作品のノリが出てきたというか。そしてその後の赤ちゃんを追う謎の賞金稼ぎとの戦いも良かった。この賞金稼ぎは異様な風貌をしていたが、「マッド・マックス」シリーズのパロディなのだろうか。

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 そして最後は一気に「いい話」風になっていく。子どもも大事かもしれないが、まずはパートナーのことを大切にしなければいけない。それに子どもが欲しいと無邪気に思っていても、いざ生まれてみれば現実的な問題が次々と出てくることも心に留めておくべきだ。この映画を見て子供が欲しいと思うことは特にないと思うが、そういった心づもりはしておいた方がいいのだろう。

 

 

 エンディングは二人の幸せな将来が描かれていく。悪くないがちょっと楽観的過ぎるのではと思わなくもない。子どもが出来ない夫婦がこれを見て変に希望を持ってしまったら酷な気がするが、そもそも不妊に悩む夫婦がこのタイトルの映画を見ようとは思わないだろうから余計な心配か。

 

スタッフ/キャスト

監督/脚本 ジョエル・コーエン

 

脚本/製作 イーサン・コーエン

 

出演 ニコラス・ケイジ/ホリー・ハンター/トレイ・ウィルソン/ジョン・グッドマン/ウィリアム・フォーサイス/フランシス・マクドーマンド

 

撮影 バリー・ソネンフェルド

 

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赤ちゃん泥棒 - Wikipedia

 

 

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