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「火口のふたり」 2019

火口のふたり (R15+)

★★★★☆

 

あらすじ

 かつて付き合っていたいとこの女の結婚式に出席するために地元に帰って来た男は、再び女と密会するようになる。キネマ旬報ベスト・ワン作品。

 

感想

 濡れ場が多いというよりもほとんどが濡れ場のような映画。最初は隠す気がさらさらなく、平気でモザイクを入れている感じが気になっていたのだが、あまりにも堂々とやりつづけるものだから最終的には清々しさすら感じてしまうようになった。ところで途中で車のナンバープレートにまでモザイクを入れていたのが気になったのだが、あれはいたずら心なのか、それともやはりモザイクを入れなければいけないという規制に対する反発心や抗議のようなものの表れなのだろうか。確かにそこに何があるのか分かっているのに隠したところでなんの意味があるのだ、という気はする。それなら車のナンバーを隠すほうがまだ意味があるように感じられる。

 

 映画は、かつて付き合っていたいとこ同士が女の結婚を機に再会し、焼けぼっくいに火がついてしまう物語だ。柄本佑演じる男が、最初は冷静に理性的に振る舞おうとしていたのに、女に求められて一度関係を持ってしまった途端にタガが外れてしまい、ノリノリになってしまうのが面白かった。ダイエットでも禁煙でも禁酒でも、一度禁を破ってしまうと解き放たれたように全解禁してしまうのはよくあることで、とてもリアリティーがある。本当は、一度途切れてしまったとしてもまた仕切り直せばいいだけなのだが。

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 延々と男と瀧内公美演じる女の情事を眺めつづけると言ってもいいような内容の映画で、ただ欲望に溺れているだけだと思っていたのに、見ているうちに段々と二人の姿に物悲しさを覚えるようになってくる。いとこ同士の許されぬ恋だと思っていたからこそ過激に燃え上がっていたのに、意外にそうでもなさそうな事に気づいてくる。そしてそれを避けようとしてきたこれまでの遠回りは何だったのだろうと、互いにそれぞれの人生を振り返っている。過激なシーンに目が奪われがちだが、それぞれの濡れ場は彼らの状況や心境の変化を示すために用意されていた事に気づく。

 

 

 東北・秋田が舞台で、震災や原発や自衛隊のことにも触れながら、何が起きるか分からない時代に世間や常識に囚われて死んだように生きるより、自分の心や体に忠実に、恐れることなく爆発して生きた方がいい、というメッセージ。ラストで急にSF風の展開が待ち受けていたのも意外性があって良かった。

 

スタッフ/キャスト

監督/脚本 荒井晴彦

 

原作 火口のふたり (河出文庫)


出演 柄本佑/瀧内公美

 

音楽 下田逸郎

 

火口のふたり - Wikipedia

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