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個人的な映画・本・音楽についての鑑賞記録・感想文です。

「十三人の刺客」 1963

十三人の刺客

★★★★☆

 

あらすじ

 悪行を重ねるも将軍の弟であるために公式に罰することが出来ない明石藩主を暗殺するよう、老中に依頼された旗本の男。

 

感想

 悪逆非道をくり返す明石藩主を参勤交代中の宿場町で暗殺しようとする物語。将軍の弟だから処罰しにくいというのは分かるが、だからといって暗殺してしまおうとはなかなか大胆な発想だ。そんな大物を暗殺するのは難しそうな気がしてしまうが、参勤交代で外を出歩く機会も多いし、常に大勢に守られているわけでもないし、割とチャンスはあるのか。それに全国で250藩くらいあったので藩主も250人いるわけで、家格や規模によって皆同じではないだろうが、藩主はそこまで超大物でもないといえる。庶民でも宿場町の人間だったら、藩主はわりとよく見る、そこまで珍しい存在ではなかったのかもしれない。

 

 前半は、老中に命令を下された旗本の主人公が仲間を集め、計画を立て準備をし、敵を待ち構える様子が描かれていく。モノクロの美しい映像に重厚感あふれる演出で引き込まれてしまうが、中でも旧知の仲で今はターゲットである明石藩主に仕える男と主人公が、対決前に会談するシーンは見ごたえがあった。互いにこれから敵対しなければならない事を予見しながらもそれには触れることなく、緊張感を湛えたま淡々と、やがて訪れるだろうその時の決意を語っている。前半のグッと映画が引き締まるシーンだった。それからその後の、待ち構える宿場町になかなかターゲットが現れず皆がジリジリとする場面も、決戦前の焦燥感を煽り、やがて訪れるクライマックスへの期待を高めてくれて、とても良いシーンだった。

 

 

 そしてついに敵が現れて、封鎖した宿場町で敵集団との戦いが始まる。時代劇によくある一対一の見せ場のあるチャンバラではなく、集団でぐちゃぐちゃになって戦う混戦が描かれていてリアリティーがあった。もうちょっと斬った時の効果音とか血糊とかで派手な演出があると良かったのだが、この時代はまだそういったものはなかったのかもしれない。激しい戦いの中で一人また一人と味方も倒れていく。どことなく「七人の侍」のようでもある。

七人の侍

七人の侍

  • 三船敏郎
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 この決闘は、主人公と藩主ではなく、藩主一行を率いる旧知の男と主人公の対決といった構図となっている。この男と対決する前に藩主は暗殺されてしまうのだが、この藩主の最低な人間ぶりを最後にもうちょっと見せつけて欲しかった。そうすればもっと大きなカタルシスを得られたはずだ。そしてその後の旧知の男とのクライマックスは、ここでも一対一の対決をして盛り上げるようなことはせず、武士の矜持を表現するような展開を見せる。単なるチャンバラで終わらせない、じっくりと見せる映画となっていて、見終わった後にいい余韻に浸ることが出来た。

 

スタッフ/キャスト

監督 工藤栄一

 

脚本 池上金男

 

出演 片岡千恵蔵/里見浩太郎/内田良平/山城新伍/菅貫太郎/嵐寛寿郎/月形龍之介/西村晃/藤純子/河原崎長一郎

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音楽 伊福部昭

 

撮影 鈴木重平

 

十三人の刺客

十三人の刺客

  • 片岡千恵蔵
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十三人の刺客 - Wikipedia

 

 

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