★★★☆☆
あらすじ
社長の自殺をきっかけに会社の買収を企む幹部に、株価を下げる無能の役割で新社長に据えられてしまった男。原題は「The Hudsucker Proxy」。
感想
クラシック映画の雰囲気をたえた映画だ。往年の様々な名画を強く意識していることが良く伝わってくる。登場人物らが早口でまくし立てるのも「ヒズ・ガール・フライデー」のスクリューボール・コメディぽさを出しているのだと思うが、個人的には忙しない感じがしてしまってどうにも苦手だ。
映画全体としても、過去の名作をオマージュしたスタイルを見せることに執心してしまい、肝心のストーリーの方は分かりづらくなってしまっているように感じた。何も知らない能天気な男がわけも分からず社長に据えられ、意に反して目覚ましい業績を上げてしまう序盤の展開は面白かったが、その後の話はかなり雑で、主人公の状態がどうなっているのかあまり見えてこなかった。
ただ随所に製作したコーエン兄弟らしさは出ており、社長の自殺の描き方や主人公が温めているアイデアの見せ方など、ファニーな可笑しみのあるシーンはたくさん見られる。主人公の万事休すの場面から、ハッピーエンドへと持っていく終盤の展開も良かった。
おそらく意識していた「素晴らしき哉、人生!」を思い起こさせるような映画になってはいたが、あの映画のように毎年クリスマスに見たい映画かと言われたらそこまでではないかな、というのが素直な感想だ。最初と最後は良かったが、その間は物足りなさを感じてしまう映画だった。
スタッフ/キャスト
監督/脚本 ジョエル・コーエン
脚本/製作 イーサン・コーエン
脚本/出演 サム・ライミ
出演 ティム・ロビンス/ジェニファー・ジェイソン・リー/チャールズ・ダーニング/ジョン・マホーニー/ジム・トゥルー=フロスト/ビル・コッブス/ブルース・キャンベル/ジョン・サイツ/ジョー・グリファシ/ピーター・ギャラガー/スティーヴ・ブシェミ/アンナ・ニコル・スミス/ジョン・グッドマン