★★★★☆
あらすじ
トレーラーハウスに住み、禁酒を続ける入れ墨師の元に、長年行方不明となっていた娘から連絡が入る。
感想
娘が行方不明となりその身を案じながら暮らす男。「行方不明」と聞くと、誰かに連れ去られたのかとか事件に巻き込まれたのかと思ってしまったが、実際の所は家出ということらしい。「行方不明」と「家出」ではずいぶん印象が異なるので、紛らわしい。
目元のアップから始まるメル・ギブソンの登場シーン。目元は皺だらけ、ひげ面でぼさぼさの髪、野暮ったい服装と、冴えないおじさんといった雰囲気なのに、それでも主役感のある存在感。不思議だ。
事件に巻き込まれ、警察と組織に追われることになり、そんな父親に助けを求めた娘。主演がメル・ギブソンなので、娘は添え物になってしまいそうなものだが、ちゃんと彼女にも見せ場を作っていて、いいバランス。父親が往年のアクションスター、娘が今を時めくアイドルという配役の、こんな感じの父娘の映画をつくれば、色んな層を取り込めてヒットしそうだ。
ギャングたちから娘を守るため、かつての裏社会で培ったコネや技術をフル活用する主人公。しかし、バイクも荒野もあまり必然性がないのに登場することに、ちょっとしたパロディを感じて可笑しい。ただ広大な大自然の風景は悪くない。少し緑がかった青空が良かった。
娘が捕まり、主人公は直接対決をするために敵方に乗り込んでいく。人質を取られ、一対多で武器もなく、圧倒的不利なのにどうするのだ?と思ったら、ただ無茶をするだけという。でもそれが男らしいメル・ギブソンならではで、爽快感があった。強引だなと思いながらも、どこかで納得しているというか、ニヤリとしてしまうというか。
できれば最後はもっとハッピーなエンディングにして欲しかった気もするが、気軽に楽しめるアクション映画として悪くない。
スタッフ/キャスト
監督 ジャン=フランソワ・リシェ
脚本/製作 ピーター・クレイグ
原作 Blood Father: A Novel (English Edition)
出演 メル・ギブソン/エリン・モリアーティ/ディエゴ・ルナ/マイケル・パークス/ウィリアム・H・メイシー/ミゲル・サンドバル/デイル・ディッキー/トーマス・マン
撮影 ロバート・ギャンツ