★★★☆☆
あらすじ
ハプニング映像を制作する芸術家の両親に、家を出るまで協力させられていた姉弟。二人は久しぶりに実家に戻るが、しばらくすると両親が行方不明になってしまう。
感想
銀行強盗の真似事をしたり、路上で演奏する姉弟に罵声を浴びせたり、美少女コンテストに弟を出場させたり、そんなハプニングを仕掛けて、周りの人間の反応を映像に収める芸術家の夫婦。なかなかクレイジーだが、付き合わされる子供たちも楽しんでいるように見える。
しかし、子供たちも成長し、自分たちがしている事、両親に仕組まれてやらされていることに気が付き始めると、次第に両親と距離を取るようになる。自分たちが普通じゃない環境にいると気づけばそれも当然だろう。二人は親元を離れ、姉は女優に、弟は作家になっていたが、それぞれが人生に行き詰まりを覚えていた。なんとなく、彼らの職業に両親の影響を感じられるのは皮肉ではある。
そんな二人が、弟の入院をきっかけに実家に帰省することになる。娘を迎える両親が包帯をぐるぐる巻きで車いすのけが人コスプレで現れたり、娘が仕事でトップレスになったのを楽しそうにネタにしている父親とか、普通じゃない感じがとても面白い。父親役のクリストファー・ウォーケンのすっとぼけた感じがとても良い。ただ確かに、自分の家族だったら嫌だ。
そんな両親なのに、二人は愛想をつかすのではなく、ちゃんと両親らしくなってくれればとまだ期待しているのがいじらしい。それでも家族、という事か。そしてそんなときに両親が失踪するという出来事が。事件に巻き込まれたと心配しながらも、もしかしたらいつものアート活動の一環じゃないかとも疑っている。
そして驚きの結末。両親にまだ期待していた姉もさすがに匙を投げる。弟の「誰かを変えようとするな、自分が変わればいい。」という言葉が、すんなりと心に入ってくる。複雑な両親への想いをすべて捨て去るのではなく、かといってそれらを良いものへとしようとするでもなく、ただそのまま受け入れられるようになった二人。ある意味、両親の目指すアートの完成形なのかもしれない。
ちゃんと映画に驚きの結末があったのに、そんなこともあるかもしれないねと、すんなりと受け入れてしまえる流れがあったせいで、あまり盛り上がれなかった珍しい映画だった。
スタッフ/キャスト
監督/製作/出演 ジェイソン・ベイトマン
製作/出演 ニコール・キッドマン
出演 クリストファー・ウォーケン/メアリーアン・プランケット/ジェイソン・バトラー・ハーナー/キャスリン・ハーン/ハリス・ユーリン/リンダ・エモンド
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