★★★★☆
あらすじ
マフィアの資金提供によって舞台上演が決まるも、クセのある関係者たちによって振り回され、準備に右往左往する劇作家。
アカデミー賞助演女優賞。原題は「Bullets Over Broadway」。98分。
感想
芸術至上主義を自負する劇作家が主人公だ。資金提供の条件として無理やりキャスティングされたマフィアのボスの愛人や、ピークを過ぎた大物女優、愛人に手を出そうとする俳優など、わがまま気ままな役者陣に振り回される。
そんな関係者の中では、劇作家の脚本にダメ出しする愛人のボディガードの男が断然面白い。最初は素人に何が分かると取り合わなかった主人公だが、あまりにも芯を食った意見を言うものだから次第にアイデアを求めるようになり、最終的にはほぼこの男の作品になってしまった。
頭の中で色々こねくり回しているだけの主人公よりも、泥臭い現場を何度も体験してきた男の方が、人間のことを深く理解しているということなのだろう。リアリティのある描写が人の心を打つ。
ただ、世の中がそんな作品ばかりになってしまうと段々としんどくなってくる。そして今度は、現実離れした夢のあるような作品が見たくなったりするものだ。だから結局は、色んな種類の作品があった方がいい。アニメばかり、ヒーローものばかりではなく、多様性があることが大事だ。
ボディガードの男が、芸術至上主義を標榜する主人公が引いてしまうくらい、芸術至上主義ぶりを発揮する終盤は可笑しかった。本当に芸術のために命を懸けている。笑ってしまいつつも、凄いなと感心している自分がいた。
その他のクセのある舞台役者たちの細かいジョークにも、クスリとさせられた。あまり触れらないが、見るたびに過食でどんどんと太っていく男が可笑しかった。いつの間にか尋常でないくらい太っていて、そんな体格では観客の気が散ってしまうだろうと心の中でひとりツッコんでいた。
芸術の名のもとに集まった人々のおかしな人間喜劇だ。楽しめた。
スタッフ/キャスト
監督/脚本
脚本 ダグラス・マクグラス
出演 ジム・ブロードベント/ジョン・キューザック/ハーヴェイ・ファイアスタイン/チャズ・パルミンテリ/メアリー=ルイーズ・パーカー/ロブ・ライナー/ジェニファー・ティリー/トレイシー・ウルマン/ジョー・ヴィテレリ/ジャック・ウォーデン/ダイアン・ウィースト/メアリー=ルイーズ・パーカー/イーディ・ファルコ/デビ・メイザー/トニー・シリコ