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「グッドバイ〜嘘からはじまる人生喜劇〜」 2020

グッドバイ~嘘からはじまる人生喜劇~

★★☆☆☆

 

あらすじ

 何人もいる愛人たちと別れることを決めた文芸雑誌の編集長は、美人だがガサツで腕力のある女に協力を依頼する。

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感想

 改心したモテ男の主人公が、ガサツだが美人の女を妻役にして愛人たちに別れ話をしに行く物語だ。このガサツな女を演じる小池栄子の声が、旧ドラえもんみたいで面白かった。普通の声でやってしまうとただの美人になってしまうので、それを感じさせないためにはちょうどいい声だった。ただ、彼女の前提となる野蛮なキャラクターの描写はもっとあった方が分かりやすかったような気がする。

 

 この二人と愛人たちの別れのやり取りが面白おかしく描かれるコメディなのだが、残念ながらちっとも面白くない。別れの修羅場の緊張感があってこそ笑いが生まれるのに、最初から主人公らがヘラヘラしてしまってメリハリがなかったからだろう。笑える空間が出来上がっていない上に間も悪く、空回り感がずっと漂っていた。主演の大泉洋も小池栄子も、ちゃんとコメディが出来る役者なのに全く活かされていないのはかなり残念だった。

 

 そして、女たちとの別れのシーンもどれも中途半端だ。ワンパターンにならないように工夫はされていたが、これもメリハリがなくて引っ掛かるところがなく、そのまま流れて行ってしまい何も印象に残らない。もっとしっかり別れの機微を描いて欲しかった。それがあってこその人生喜劇だろう。

 

 

 主人公はなんとか愛人たちと別れることに成功するも、予期せぬ出来事に絶望してしまう。そんな彼に起きてしまった悲劇は意外性があった。その後、愛人たちが集まって語り合う様子が描かれ、このままエンディングを迎えても悪くないなと思っていたのだが、どんでん返しが待っていた。

 

 だがここからが長い。その後の展開は誰もが予想できるのものなので、衝撃の事実で驚かせた勢いにまかせて5分くらいで描き切ってしまえばいいものを、なぜかここからじっくり丁寧に描き始める。すっかり興奮も冷めてしまった中で、想像通りの結末に至るまでの過程を眺めなければいけない20分は苦行でしかなかった。辛かった。笑えないうえに忍耐まで強いる鬼のような映画だ。

 

スタッフ/キャスト

監督 成島出

 

原作 グッドバイ

 

出演 大泉洋/小池栄子/水川あさみ/橋本愛/緒川たまき/木村多江/皆川猿時/田中要次/池谷のぶえ/犬山イヌコ/水澤紳吾/戸田恵子/濱田岳/松重豊

 

音楽 安川午朗

 

グッドバイ〜嘘からはじまる人生喜劇〜 - Wikipedia

 

 

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