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個人的な映画・本・音楽についての鑑賞記録・感想文です。

「喝采の陰で」 1982

喝采の陰で [DVD]

★★☆☆☆

 

あらすじ

 自身の子供と妻の連れ子の5人の子供を抱える劇作家の男。ある日、妻が不倫をして出て行ってしまい、仕事と子供の面倒で途方に暮れてしまう。原題は「Author! Author!
」。

 

感想

 序盤は登場人物たちが何か変な会話ばかりしているなとぼんやり思いながら見ていたのだが、10分くらいしたところでようやく、もしかしてこれは笑わそうとしているのか?とハッと気づいた。とてつもなく分かりづらいコメディ映画だ。全然コメディの雰囲気が作れておらず、笑いどころすら分からない。

 

 主人公を演じるアル・パチーノも、コメディの演技は下手なのかと疑ってしまうほどで、無駄に迫真の演技をするものだから笑っていいものか、一瞬迷ってしまう。主人公が自身の言い間違いに呆然とするシーンがあり、あとから考えるとこれは妻の浮気を無意識に疑っているというギャグなのだが、事前に内容も知らず、コメディ映画だともまだ気づいていなかったので、何らかの脳の病気を患ってしまった男の闘病ドラマが始まるのかと本気で思ってしまった。ただ全体的に見てみれば、アル・パチーノよりも脚本・演出の問題の方がどう考えても大きいが。

 

 

 物語自体も方向性が見えなくて、何を描こうとしているのかなかなかつかめなかった。中盤ぐらいにようやく、ひとりでたくさんの子供たちの面倒を見ながら、何とか舞台の脚本を書き上げる男、というあらすじが見えてきたが、最後までそれで合っているのかと不安を覚えるような、曖昧な物語展開だった。

 

 おそらく構想としては、ドタバタの私生活をうまく脚本に取り込んだ結果、素晴らしい演劇となって子供たちも大喜び、というハートウォーミングな物語に仕立てたかったのだろうが、全然そんな風には見えなかった。子供たちとの関係をもっとしっかり描くべきだったし、それが舞台劇に反映されていることを分かりやすく示すべきだった。

 

 もし構想通りに描けていれば、傑作と呼ばれるくらいいい映画になっていたかもしれないが、残念ながらそのことごとくに失敗してしまったような印象を受ける。とくにコメディ部分がコメディだと気づかれないくらいに失敗しているのが痛い。

 

スタッフ/キャスト

監督 アーサー・ヒラー

 

製作 アーウィン・ウィンクラー

 

出演

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ダイアン・キャノン/チューズデイ・ウェルド/アラン・キング/ボブ・ディシー/ボブ・エリオット

 

音楽 デイヴ・グルーシン

 

喝采の陰で [DVD]

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  • アル・パチーノ
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喝采の陰で - Wikipedia

 

 

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