★★★☆☆
あらすじ
死んだ母親の言葉に従ってルーマニアのブカレストに向かった男は、そこでひとりの女性と出会う。
原題は「Charlie Countryman」。
感想
タイトルとパッケージから恋愛を絡めたアクション映画かと思っていたら、恋愛を絡めたドラマ映画だった。おかげで見ている間、ずっとどこかでアクションを求めている自分がいた。
主人公は死んだ母親の言葉に従い、ブカレストに向かう。道中で様々な出来事が連鎖的に起きて、いつの間にか一人の女性と恋に落ちる物語だ。ただ、そもそも主人公がブカレストで何をしたかったのかが不明だったので、現地で何をしても、そんなことより本来の目的を果たさなくていいのか?と終始気になって集中できなかった。
おそらくは母親の言葉に従っただけで特に目的はなく、行き当たりばったりで流れに身を任せるつもりだったのだろうと予想できるが、それならそれでそのことをはっきりと明言しておいて欲しかった。行きの飛行機内で隣の客と会話するシーンはその絶好の機会だった。「今回の旅の目的は?」と彼に自然に聞くことが出来たはずだ。
それから主人公が恋に落ちる相手が、死んでしまった男性の娘だったことも気になった。たまたま男の死に立ち会い、そこに駆け付けた娘と恋に落ちるなんて、いくら数珠つなぎにストーリーをつないでいくシステムにしても短絡すぎる。それに身内が死んだばかりの女性に言い寄るのは不謹慎な感じがあるし、相手もそんな気にはなれないような気がする。せめて恋の相手はその女性の友人など、死者とは少し距離のある女性であって欲しかった。
ひとつの出来事が次の出来事を読んでいく都合の良すぎるストーリーは、ある種のファンタジーだと考えれば納得できる。ただ、テンポが良すぎて深みは感じられなかった。緩急をつけて、観客がじっくりと考え、味わうための時間があればよかった。気になる点が多くて物語に集中できず、また主人公に感情移入もできなかったので、ただストーリーを追うだけになってしまった。
主演のシャイア・ラブーフの演技には惹きつけられるものがあっただけに、もったいない映画だった。
スタッフ/キャスト
監督 フレデリック・ボンド
製作総指揮 ニコラス・シャルティエ/パトリック・ニュウォール/ディーン・パリソット
出演 シャイア・ラブーフ/エヴァン・レイチェル・ウッド/マッツ・ミケルセン/ティル・シュヴァイガー
音楽 クリストフ・ベック/デッドモノ