★★☆☆☆
あらすじ
かつての仲間の逮捕によって、身元がバレて追われる身となった元過激派の男。
原題は「The Company You Keep」。121分。
感想
邦題タイトルから追いつ追われつの逃亡劇を期待すると肩透かしを喰らうかもしれない。FBIはロバート・レッドフォード演じる主人公の足取りを追うだけで、そんなにスリリングな状況は訪れない。アクションも別にない。
正直、FBIよりもシャイア・ラブーフ演じる記者の異常な取材能力の高さの方が気になってしまった。どんどんと主人公に迫る記者を見ていたら、逆にFBIは30年間も何をやっていたのだという気になる。現在の主人公にたどり着くのは難しかったとしても、事件当時の警察官との関係には気づかないといけなかっただろう。
原題が「The Company You Keep」であることも考慮すると、この映画は逃走劇というよりも、かつて活動家として戦った人々のその後を描いた物語というべきだろう。逃走する主人公がかつての仲間たちを訪れて、彼らの近況や事件のあとの人生が描かれる。主婦として普通の家庭生活を送った者、若者たちにかつての活動の様子を語って聞かせる者、そしてまだあきらめていない者。様々な人生が浮かび上がる。
スーザン・サランドン、ニック・ノルティ、クリス・クーパー、ジュリー・クリスティら、主演のロバート・レッドフォードを含めて、そうそうたるおじいちゃんおばあちゃん俳優が勢ぞろいして、皆いい演技をしている。しかし、みな歳を取った。
登場人物が多く、それぞれの関係を把握するのがなかなか困難だったが、物語が進行するにつれ、次第に逃亡する主人公の意図が浮かび上がってくる。ただそれと同時に心の中にモヤモヤがどんどんと溜まっていってしまった。
主人公のやろうとしている事は理解できたが、なぜそれが上手くいくと思っているのかが分からない。それになぜ30年も事実を明らかにせず、黙っていたのかも。仲間や家族に迷惑が及ぶことを恐れたのかもしれないが、自分の事だけを語れば余罪もないようなので、何も気兼ねもすることなく残りの人生を謳歌できたはずだろうに。
映画としても、観客がそういう疑問を持つだろうと考えて、記者にそんな疑問を代弁させているのだが、結局納得するような答えは得られなかった。映画がちゃんとそれを理解していることが分かるだけに、答えてくれないという事に余計イライラしてしまった。
それに主人公の言い分も随分身勝手に思えてしまう。子どものために黙っていたとか、子どものために自首してくれとか、自分の都合ばかりだなと思ってしまった。相手もそんなので自首するような人には見えなかった。最初に捕まったスーザン・サランドン演じる女性が、自首出来ずに逮捕されてしまったことが、全ての元凶だった。
人生の終わりが見えてきた、あの頃に青春時代を送っていた世代の人たちの総括とでも言うような映画だ。長くてもその時間を感じさせない、いい映画だったとは思うが、それだけに釈然としない部分が気になってしまった。それはただ、自分がまだ人生の機微を理解できていないだけなのかもしれないが。
スタッフ/キャスト
監督/製作/出演
原作 ランナウェイ/逃亡者
出演 シャイア・ラブーフ/ジュリー・クリスティ/スーザン・サランドン/ジャッキー・エヴァンコ/ブレンダン・グリーソン/ブリット・マーリング/アナ・ケンドリック/テレンス・ハワード/ニック・ノルティ/リチャード・ジェンキンス/サム・エリオット/スティーヴン・ルート/スタンリー・トゥッチ/クリス・クーパー/キーガン・コナー・トレイシー
音楽 クリフ・マルティネス
ランナウェイ/逃亡者 【字幕版】 | 映画 | 無料動画GYAO!