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「ドラゴン・タトゥーの女」 2011

ドラゴン・タトゥーの女

★★★★☆

 

あらすじ

 ある実業家に、親類の少女が行方不明になった40年前の事件の真相を調べて欲しいと依頼されたジャーナリストの男は、紹介された天才ハッカーの女をアシスタントにして、依頼主一族の調査を始める。

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 シリーズ第1作。158分。

 

感想

 ジャーナリストの男が実業家一族の過去の事件を調べる物語だ。主人公自身も言っていたが、まずこの一族の人間関係を把握するのに苦労する。次々と現れる一族の人間たちに混乱し、途中でいったん見るのをやめて家系図を調べてしまった。

 

 ただ、調べてみるとそこまで複雑ではない。それで改めて見直してみたら字幕に誤訳があり、失踪した少女は依頼主の「兄(弟)の孫」なのに、「息子の孫」となっていたことが分かった。少女は依頼主のひ孫だと思っていたから話がおかしくなる。どうりで姪とか叔父とか言われるたびに訳が分からなくなるわけだ。

 

 

 この映画はAmazonプライム・ビデオで見たが、こういう大事なところで誤訳されてしまうと辛い。違う場面でも依頼人の別の「兄(弟)」のことを「息子」と誤訳していた。その他、誕生日の花のくだりやハッカーの後見人の件などでも字幕が分かりづらくて、物語に集中できない原因となっている。

 

 そのせいもあって、主人公の捜査は何をやっているのかいまいちよく分からないところがあった。当時の写真に着目したり、聖書の引用に気付いたりしているのは分かるのだが、そこから何を発見し、調査がどう進捗したのかはあまり伝わって来ない。主人公の表情や仕草から何かを発見したらしいと雰囲気で察する事しかできなかった。

 

 ただ、途中から主人公の助手になるドラゴンタトゥーの女が魅力的で、物語を面白いものにしてくれている。人づきあいが下手で不器用だが、凄い能力と気の強さ、そして垣間見せる女らしさなど、様々な表情を見せて惹きつけられる。

 

 最初は、主人公とは別にこの天才ハッカーの女の話が進行し、これがどこでどう話がつながるのかと思っていたのだが、彼らがついにタッグを組んでからはグッとストーリーの推進力が増した。彼女が主人公のパソコンのロックを破って勝手に使い、そんなことしちゃダメだよと、やんわり注意されていたのは可笑しかった。

 

 事件の顛末が明らかになってみると、主人公の調査はあまり意味がなかったなと思わなくもないが、可能性のあるものを潰していく消去法だったと考えればいいのだろう。残された数少ない可能性の中から正解を導き出すことが出来た。伏線がちゃんと張られていて良く出来たプロットだ。

 

 そしてここで終わらず、その後にハッカーの女の独自行動での鮮やかな手口と悲しいエンディングが用意されていた。彼女の気持ちの落差が深い余韻を残す。ミステリーとしてよりも、危うさのある彼女の物語として楽しめた。出来れば、あとで日本語字幕と英語字幕を見比べながら誤訳チェックをする必要がない環境で見たかった。

 

スタッフ/キャスト

監督 デヴィッド・フィンチャー

 

原作 ミレニアム1 ドラゴン・タトゥーの女(上・下合本版) (ハヤカワ・ミステリ文庫)


製作総指揮 アンニ・ファウルビエ・フェルナンデス/ミカエル・ヴァレン/スティーヴン・ザイリアン

 

出演 ダニエル・クレイグ/ルーニー・マーラ/クリストファー・プラマー/ステラン・スカルスガルド/スティーヴン・バーコフ/ロビン・ライト/ヨリック・ヴァン・ヴァーヘニンゲン/ジョエリー・リチャードソン/ジェラルディン・ジェームズ/ゴラン・ヴィシュニック/デヴィッド・デンシック/ジュリアン・サンズ/マーティン・ジャーヴィス/アーリー・ジョバー/アラン・デイル/レオ・ビル/エロディ・ユン/エンベス・デイヴィッツ


音楽 トレント・レズナー/アッティカス・ロス

 

編集 カーク・バクスター/アンガス・ウォール

 

日本語字幕 市川彩奈

 

ドラゴン・タトゥーの女 (2011年の映画) - Wikipedia

 

 

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