★★☆☆☆
あらすじ
雇い主のギャングから、絶対に中を見てはいけないバッグを運んでほしいと依頼された殺し屋の男。
感想
高額の報酬と引き換えに謎のバッグを運ぶことを依頼された殺し屋が主人公だ。中身を絶対に見てはいけないと言われている時点で怪しさ抜群だが、案の定、指定されたモーテルにたどり着いた後、次々と不測の事態が起きる。
隣室の男やフロントの男、周辺をうろついていた怪しい娼婦とそのポン引きらが盛んに主人公に絡んでくる。事情を知らないから空気を読まずに近づいてくることもあるだろうと、最初はそれなりに興味深くそのやりとりを見ていた。
だが時間がすすむにつれて段々と、これ何の時間?となってくる。肝心の運び屋の仕事に進捗がなくなり、関係のない話がダラダラと続くだけだ。徐々に停滞感に包まれていく。せめてギャングが今受け取りに向かっているとか、あと何分で着くとか、状況を伝える情報が欲しかった。今は何待ちなのか、さっぱり分からないのが一番つらい。
そんなグダグダと時間が過ぎていく中で、主人公は怪しんで近づいてきた男たちを倒し、娼婦の女と仲良くなっていく。襲い掛かって来る男たちを返り討ちにするのは仕方ないにしても、その間に女と愛を育んでいるのは意味が分からなかった。気の利いたやり取りで互いに距離を縮め、非常事態にも関わらず惹かれ合ったと言うことなのかもしれないが、全然そんなことはなかったし、彼女がいなければほとんどの問題は解決するのにと、最後まで邪魔な存在でしかなかった。
終盤に何のタイミングなのかよく分からないが、ギャングがバッグを受け取りに現れて、ようやく主人公の任務は完了する。ギャングが明かしたこの仕事の目的はまあそうでしょうね、と予想できるものだったし、当然気になるバッグの中身も映画「セブン」的なもので、なんだかなと思ってしまうものだった。
それにこのギャングの無防備すぎる行動もよく分からない。こんなことに命をかけるなんてどうかしている。ラストでその全貌が明らかになるが、それを見ても何でそこまでするのか、謎は深まるばかりだった。しかもそれをすべて愛がひっくり返してしまうなんて、あまりにもチープすぎる。
冒頭で運び屋という誰にでも分かるシンプルな仕事を、わざわざステーキを使ってくどくどと説明し始めた時から嫌な予感はあった。
ところで、主人公に仕事を依頼するギャングの役をロバート・デ・ニーロが演じているのだが、この映画での彼はあまりらしさがなく、双子の弟的な微妙な違和感があった。敢えてそういう役作りをしたのかもしれないが、なんだか物足りなさを感じてしまった。
スタッフ/キャスト
監督/脚本/製作総指揮 デヴィッド・グロヴィック
出演 ジョン・キューザック/レベッカ・ダ・コスタ/クリスピン・グローヴァー/ドミニク・パーセル