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「ドライブイン蒲生」 2014 

ドライブイン蒲生

★★☆☆☆

 

あらすじ

 ロードサイドのレストラン「ドライブイン蒲生」の子として生まれ、周囲にバカの家の子と陰口を叩かれて育った姉弟。

 

感想

 いい加減な父親に反発する姉とそれを傍観する弟を描いた物語だ。だが肝心の愛憎入りまじった父親との関係があまり伝わってこない。薄っぺらい親子のエピソードばかりで、そもそも父親がどんな人物かすらよく分からなかった。憎しみを覚えるとか以前の問題で、この父親に対してなんらかの特別な感情が湧かなかった。

 

 だから姉が、彼が自分の父親でなければいいのにと夢想するほど嫌う理由も分からず、物語の根底が曖昧になってしまっている。その上、各シーンの状況も分かりづらく、姉弟を中心に積み上げられていく物語もまたぼんやりとしたものだ。まるでボカシがかけれられているかのようで、これではこちらがいくら目を細めたりして頑張ったところで何も見えてこない。

 

 

 ただ姉弟を演じる染谷将太と黒川芽以が十代二十代を上手く演じ分けているのは見事だった。無邪気でやんちゃな十代と全盛期を過ぎた二十代というように、人生のピークを十代後半で迎えてしまう人たちの特徴をよく捉えていた。

 

 特に黒川芽以の、幼い子供を抱えて疲れ果てた顔をしている二十代の女の姿はリアルだった。見た目は若く幼い恰好をしているのに、よく見るととんでもなくやつれた顔をしている女性は、特定のコミュニティではよく見かける。

 

 どんなに憎んでみたところで蛙の子は蛙で血は争えず、なんだかんだで本人たちもそれを一族の誇りと感じている。言いたいことは分かるが、それが全然伝わってこない映画だった。元は撮影監督だった監督らしく、映像はいい映画の雰囲気があるだけに、余計残念に感じてしまう。

 

スタッフ/キャスト

監督/撮影 たむらまさき

 

原作 ドライブイン蒲生 (河出文庫)


出演 染谷将太/黒川芽以/永瀬正敏/小林ユウキチ/猫田直/平澤宏々路/鈴木晋介

/足立智充/田村愛/吉岡睦雄/黒田大輔

 

音楽 ヤマジカズヒデ

 

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