★★★★☆
あらすじ
警官の弟と、ひき逃げをしたことから事件に巻き込まれていく双子の兄。
感想
タイトル的には八つ墓村的な凄惨な事件を想像してしまうが、実際にはどこかの田舎の片隅で起こっていそうな、歪な事件が積み重ねられていく物語だ。閉じられた世界の、窒息しそうな日々に、皆がもがいた結果、起きるような事件、そんな事件がどこかコミカルに描かれている。
皆少しおかしな登場人物たちであるが、中でも妻をおいて他の女の家で生活したり、息子の交際相手の家族に有る事無い事を饒舌に語ったりする、三浦友和演じる主人公の父親のクズっぷりが良かった。最低なことやっているのに見放される事なく、妻からもよその女からも気にかけられて、ある意味羨ましい存在でもある。
田舎というのは、身内には包容力がある場所なのかもしれない。同じ場所で生まれ育ったのだから、という理由だけで大抵のことを許すというか、見逃すというか、諦めて受け入れてくれるような気がする。
ここからどうやってタイトルのような事件が起きるのかと思ったが、そう来たか、という感じだった。一番まともそうに見えた主人公も、この澱んだ世界に長いこといることで、膿が溜まってしまったのだな、と。おかしな世界でまともでいられるのは、やっぱりどこかおかしいということなのだろう。
スタッフ/キャスト
監督/脚本
出演 新井浩文/山中崇/木村祐一/キムラ緑子/安藤玉恵/西尾まり/川越美和/康すおん/でんでん/烏丸せつこ/光石研
編集 宮島竜治