★★★☆☆
あらすじ
年度最終日、リストラを恐れて同僚のカタブツ教師を売ってしまった国語教師は怒りを買い、決闘を挑まれてしまう。
感想
年度最終日にトラブルに巻き込まれてしまった国語教師のドタバタ劇が描かれるコメディ。しかし最終日だからと学生たちはいたずらなどやりたい放題、教師はリストラにビクビクしている、という状況は色々とあからさまですごい。つまり皆が人としての倫理観で動いているわけではなく、契約や約束事に基づいて動いているというわけだ。今までは約束事だからちゃんとやっていたが、それが終了するならもう自由にやらせてもらうよ、という雰囲気に満ちている。
この態度に嫌悪感を示す人も多いのだろうが、彼らがちゃんと状況を理解し、自分のやりたいことを見失っていないことがよく分かって、個人的は好感が持てる。世の中には社会の求めに従順になることに慣れきってしまって、本心からやりたいことが分からなくなってしまっている人が多い。そういう人たちは他人に利用されがちで、しかも自らの首を絞めていることにすら気づかず平気な顔をしている。
カタブツ教師を怒らせて決闘を申し込まれてしまった主人公は、馬鹿げた行為を止めようと東奔西走する。そんな彼に関わる職場の人間たちはみな個性豊かなキャラクターで面白い。特にジリアン・ベル演じるスクールカウンセラーが良かった。可愛くも美人でもない普通の女性だが、かなりクレイジーな発言を繰り返す。若干引いてしまいつつも、その真顔に思わず笑わせられる。
そんな中で敵役を演じるアイス・キューブがただ頑固で怖いだけで、それを全然笑いに変えることが出来ていなかったのが残念だった。多少、警察を罵倒するなどの自らのラッパーネタで笑いをとろうとしているのが分かる程度だ。別にこのキャラクターでも全然笑いが取れるはずだがそれが出来ておらず、彼のシーンだけ少し停滞してしまっている。彼は準主役なので当然出番も多いわけで、つまり停滞するシーンが多かったことになる。
決闘を中止しようとあがいていた主人公がそれをあきらめ、開き直って自棄になってからはカタルシスを得られるシーンも多くなって、グッと面白くなった。正直、今どき決闘で殴り合うってどうなの?と思わなくもないし、なんのひねりもなくそのまま本当に決闘してしまうラストも、それでなぜか世間から喝さいを浴びてしまう展開にも首をひねりたくなるのだが、そこそこ笑えて普通に楽しめるコメディ映画だった。気楽に見るには悪くない。
スタッフ/キャスト
監督 リッチー・キーン
原案/製作 マックス・グリーンフィールド
製作 ショーン・レヴィ
製作総指揮/出演 チャーリー・デイ/アイス・キューブ
出演 トレイシー・モーガン/ジリアン・ベル/クリスティーナ・ヘンドリックス/クメイル・ナンジアニ/ディーン・ノリス/デニス・ヘイスバート/ジョアンナ・ガルシア