★★★★☆
あらすじ
実行困難な作戦を成功させるため、精鋭の空軍パイロットたちを訓練するよう命じられ、30年ぶりに「トップガン」に戻って来た主人公、マーヴェリック。
1986年の映画「トップガン」の続編。131分。
感想
30年以上前の大ヒット映画の続編だ。最近このタイプの続編も多いが、実際にそれだけの年齢を重ねた俳優たちが、当時と同じ役柄で出ているだけでエモさがある。人は、ひとりの人間が年月を重ねる姿を見るだけで、感傷的になってしまうものなのかもしれない。
とはいえ、あれから30年経った主人公は、相変わらず無茶なことをやっていてそんなに変わっていなかったりする。それでも若いパイロットたちと並ぶと違いは明白で、彼も年を取ったのだなと実感する。物腰に円熟ぶりが感じられ、哀愁がそこはかとなく漂うようになっている。前作と同じようなシーンがいくつかあり、彼の変わった部分と変わらない部分が見えてくる。
前作では単純明快な青春映画だったストーリーも、今作では渋みを感じるものへと変わっている。バーの女性との何やらいわくありげな関係ひとつ取ってもそうだが、歳を重ねるほどに人生は複雑になっていくものだ。多くの人と出会い、様々なことが起こって因縁が生まれ、気付かぬうちに色んなものを背負うようになる。若い時のようにただ無邪気でいるわけにはいかなくなる。
そんな人生の重みを感じさせる物語ながらも、しっかりと戦闘機のアクションも描いているのがいい。前作を彷彿とさせる訓練シーンの後にいざ本番が始まるが、すんなりと成功して終わりではなく、そこからもうひと山あって盛り上がる。主人公らが戦闘機を降りて行動し始めた時には、これでは「ミッション・インポッシブル」になっちゃうよと危惧してしまったが、再び戦闘機に乗り込んでちゃんと「トップガン」らしさは維持していた。
旧型の戦闘機で戦うクライマックスは、まるで主人公の心情を表わしているかのようだった。もう若くはないが、まだまだ若者とだってやり合える。それでも最終的には最新の戦闘機に助けられ、若い力と手を取り合うことも大事だとうまくまとめてくるところはさすがだった。作戦が無事終わり、確執のあった死んだ友人の息子と互いに称えあうシーンには、思わず目頭が熱くなった。
同じようなシーンや若いパイロットたちの訓練する姿で前作をなぞりながらも、ベテランとなった主人公の新たな物語を展開して、多くの層が楽しめるようになっている。単純明快でいられた若い頃を懐かしみつつ、それでも前を向いて生きようと気持ちが新たになる。そんな映画だ。
スタッフ/キャスト
監督 ジョセフ・コシンスキー
脚本/製作 クリストファー・マッカリー
原案 ピーター・クレイグ/ジャスティン・マークス
製作 ジェリー・ブラッカイマー/デヴィッド・エリソン
製作/出演
出演 マイルズ・テラー/ジェニファー・コネリー/ジョン・ハム/グレン・パウエル/ルイス・プルマン/エド・ハリス/ヴァル・キルマー/モニカ・バルバロ/アンソニー・エドワーズ*/ケリー・マクギリス*
*
*アーカイヴ映像
音楽 ハロルド・フォルターメイヤー/レディー・ガガ/ハンス・ジマー
関連する作品
前作