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「フットルース」 1984

フットルース (字幕版)

★★★☆☆

 

あらすじ

 ダンスやロックを禁止する保守的な田舎町に引っ越してきた高校生。

 

感想

 ダンスやロックを法律で禁止するなんて馬鹿げてる、国を問わず田舎は保守的で嫌になるなと思いながら見ていたが、日本は国としてつい最近まで禁止していた。禁止というか規制というべきか。そして、拡大解釈で今も取り締まっているらしいが。

「無許可でダンス」警察が有名バー立ち入り 風営法の拡大解釈に経営者は反発

 

 そんな嫌になる田舎に都会から引っ越してきた主人公。他の住人達から監視され、敵意を持つ一部の人間のせいで事件に巻き込まれたり、誤解から町に悪影響を与える危険人物扱いまでされてしまう。こんな事をされたら反発して、本当に周りが期待するような不良の危険人物になってしまいそうだが、そうはならずにちゃんと自分を保っている主人公には感心する。若いのに偉いよ、となぜだか年寄り臭く褒めてあげたくなる。

 

 そして禁止されているからと、バレないようにコソコソと自分たちのやりたいことをやるのではなく、正々堂々と大人に認めてもらおうとする主人公。単なるお気楽なダンス映画かと思っていたが、意外と社会派な雰囲気がある。もはやダンスがどうこうというだけでなく、それを通して社会を変える、自由を勝ち取るという運動になっている。

 

 

 主人公と対立し、保守的な田舎を代表するのが、ジョン・リスゴー演じる牧師だ。何でもかんでも厳しく規制しようとする過激な人間かと思ったが、そうでもない。ダンスは規制するが、有害図書を燃やそうとすることには反対で、彼なりに基準はあるようである。

 

 ただこれは彼を慕うまわりの人間には分りづらい。子どもに悪影響を与えそうなものは何でも禁止するのだと、盲目的な周囲の人間はエスカレートしてしまっている。こういう事は社会で良く起きていそうだ。言い出しっぺの人間が、失望されたくないとエスカレートする周囲を止められずに迎合し、どんどん過激なヤバい集団になっていく現象は、ネットとかで割とよく見る。

 

 この映画の中では、牧師はちゃんとエスカレートする人たちを諫めて止めている。彼は彼で信念の人だった。倒さなければいけない悪の権化として彼を描くのではなく、話せばわかり合える人間としたことには好感が持てた。世の中は敵ばかりだと思うと生きるのがつらくなる。

 

 退屈な田舎でロックもダンスも禁止され、それでも何か起きないかと期待して皆で夜に集まる冒頭のシーンや、自由を得て皆で踊りまくるラストのシーンは、やり場のないパワーを持て余した若者たちを、居ても立ってもいられないような気分にさせただろうことは容易に想像できる。当時、大ヒットして社会現象になったのも頷ける。昔はもっと暇だっただろうし。

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 主演のケヴィン・ベーコンがアイドル的な佇まいで、運動神経の良さそうな動きも見せていて、今では個性派俳優のイメージが強い彼からすると意外だった。現実世界で、彼がパーティなどでDJに20ドル渡し、ケニー・ロギンスの「フットルース」をかけないでと頼んでいるというエピソードは好き。DJが「フットルース」をかけて、彼がどうするか皆がニヤニヤしながら見守る地獄の場面が余裕で想像できる。

映画「フットルース」公開から30周年! 主演のケヴィン・ベーコンがダンスシーンを再現、見事なステップを披露[動画あり]| 海外ドラマ&セレブニュース TVグルーヴ

 

 それから、登場人物の中に「セックス・アンド・ザ・シティ(SATC)」のサラ・ジェシカ・パーカーにそっくりな人が出ていて、あまりにも似すぎてるな、と思ったら、サラ・ジェシカ・パーカー本人だった。この頃の映画に出ているということは、SATCをやっている頃は相当な年齢になっているはずだから、本人のわけがないと思い込んでしまっていた。このあたりの年代の時間の感覚が、自分の中でおかしくなっているようだ。

 

スタッフ/キャスト

監督 ハーバート・ロス


出演 ケヴィン・ベーコン/ロリ・シンガー/ジョン・リスゴー/ダイアン・ウィースト/フランシス・リー・マッケイン/サラ・ジェシカ・パーカー/クリス・ペン

 

音楽 マイルズ・グッドマン

 

フットルース (字幕版)

フットルース (字幕版)

  • ケビン・ベーコン
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フットルース (1984年の映画) - Wikipedia

 

 

登場する作品

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  • 発売日: 2013/11/26
  • メディア: Prime Video
 

 

 

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