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「風が強く吹いている」 2009

風が強く吹いている

★★★★☆

 

あらすじ

 知らないうちに大学陸上部の寮に入れられてしまった男は、仲間と共に箱根駅伝を目指すようになる。

 

感想

 弱小大学の陸上部が箱根駅伝を目指す物語。主将によって寮に集められた個性豊かなメンバーが、それぞれの想いを抱えながら互いに助け合い、励まし合って成長していく。スポーツ映画の王道ともいえるストーリーだが、まずメンバーたちが皆いいヤツなのがいい。ほとんど誰もエゴを出すことなく、衝突する事もなく、常に良好な関係を保とうと努めている。互いに刺激しないように遠慮しあっていると捉えることも出来るが、こういう雰囲気だとネガティブな感情が生まれたとしてもすぐに打ち消すことが出来るだろうから士気を保つには良い事なのだろう。

 

 そしてこんなチームの雰囲気を作り上げているのは、間違いなく主将の存在が大きい。チームのために食事を作り、練習メニューを考え、部活以外の面倒も見る彼は、いつもメンバーを励まし、決して誰も責めない。彼自身がチームに望むことを率先して行っている。リーダーの姿勢が組織にどのような影響を与えるのかがよく分かる。この主将を演じる小出恵介が、リアリティを与える説得力のある良い演技を見せている。

 

 

 良好なチームワークで厳しい練習に取り組み、なんとか予選会を勝ち抜くことに成功したチームは、いよいよ箱根駅伝に臨むことになる。とんとん拍子に進み過ぎる展開で漫画チックではあるのだが、物語の運びが上手く、グイグイと引っ張っていくので冷める事はない。もうちょっと選手らの元々の実力や背景を知りたかったというのはあるが、10人の選手全員をしっかり描いていたらいくら時間があっても足りないだろうから仕方がない。それから、主要人物が多いとその中にだいたい双子がいる、というのはあるあるかもしれない。

 

 ところで、映画の中では「アルプスの少女ハイジ」や「あしたのジョー」といった古い作品をネタにしたギャグがたくさん出てくるのだが、これらは今でも通じるものなのだろうか。現代の日本では、名作漫画やアニメの知識は教養として持っていないといけないもの、という事になりつつあるのかもしれない。

 

 後半は箱根駅伝の様子がたっぷり描かれていく。単純にレースとしても面白いのだろうが、そこにしっかりとメンバーのドラマが加えられて、次々とタスキをつないでいく様子に段々と胸が熱くなっていく。スポーツ映画らしい感動が味わえる物語だ。出場権やシード権の獲得方法、復路のスタートの仕方など、今まであまり関心がなくて知らなかった箱根駅伝について、詳しく知ることが出来たのも面白かった。関心がなかったのに楽しめたのだから、箱根駅伝好きならもっと楽しめるはずだ。

 

スタッフ/キャスト

監督/脚本 大森寿美男


原作 風が強く吹いている


出演 小出恵介/林遣都/中村優一/川村陽介/橋本淳/森廉/内野謙太/ダンテ・カーヴァー/斉藤慶太/斉藤祥太/渡辺大/五十嵐隼士/水沢エレナ/和久井映見/高橋ひとみ/近藤芳正/寺脇康文/鈴木京香

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音楽 千住明

 

風が強く吹いている - Wikipedia

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