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「黒いチューリップ」 1964

黒いチューリップ (字幕版)

★★★★☆

 

あらすじ

 フランス革命前夜。義賊「黒いチューリップ」として素顔を隠して活躍していた貴族の男は、顔に傷をつけられてしまい、身元がバレるのを恐れて、顔がそっくりの弟に貴族としての活動を任せることにする。

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 原題は「La Tulipe Noire」。110分。

 

感想

 フランス革命前夜に貴族でありながら義賊として活躍した兄と、彼に瓜二つの弟を描いた物語だ。アラン・ドロンが一人二役をやっている。兄は危機を察知して海外逃亡を図る貴族たちから金品を奪っているのだが、その金品を「略奪品」と表現しているのがフランスらしい。

 

 庶民が貴族から搾取された金品を取り返しているだけで当然のこと、という発想は、お上は絶対で、出せと言われたらどんなに苦しくても差し上げるのが当然と考えているらしい、どこかの国民には考えられないものだろう。なんせ、苦しいのになんで払わなければいけないのだと怒るのではなく、こんなに苦しいのに払っているんだぞと自慢し、憤っている他人をたしなめようとする人たちだ。

 

 

 顔に傷を付けられ、素性がバレるのを恐れた兄は、そっくりの弟に貴族としての活動を任せるようになる。弟は貴族として知り得た情報を活用しながら、革命勢力に協力していく。これが割と軽いノリで描かれていくので戸惑うが、基本的にはコメディということなのだろう。

 

 そんな中で、革命軍を鎮圧するために軍隊を引き連れてパリに向かっている指揮官が面白いキャラだった。騙されて女をめぐる決闘を挑まれても怯むことなく応じるし、拉致されたら即座に死を覚悟して平然としているし、無事逃れられたらすぐに尊大になる。大物なのか愚鈍なのかよく分からないのだが憎めない。

 

 中盤のコメディ中心の展開はまずまずだったが、終盤の敵勢力との激突となるクライマックスは俄然盛り上がった。ロケーションも良く、ワイドな映像は見ごたえがあって、活劇の趣に満ちている。

 

 最後は兄に対する扱いが冷たすぎるように感じた。置き去りにしないで助けて連れ帰ることができたような気がするし、刑の執行前に救出できたような気もする。ただ彼は義賊ではなく、スリルを楽しんでいただけの男だったので、この報いは仕方がないのかもしれない。その直前に逃げようとした仲間を殺してしまったのも悪役ぽさがあった。

 

 昔の映画ではあるが今でも十分に楽しめるシーンもあって、ワクワクできる娯楽作品となっている。アラン・ドロンの一人二役ぶりも楽しい。

 

スタッフ/キャスト

監督 クリスチャン=ジャック

 

原作 黒いチューリップ


出演

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黒いチューリップ (1964年の映画) - Wikipedia

- YouTube(~24/10/25 20:59 期間限定無料公開)

 

 

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