★★★☆☆
あらすじ
武力に頼らない統治を理想としながらも敵対勢力に倒された友人に代わり、メキシコのスペイン領の総督になった主人公。
感想
友人に武力に頼らないことを誓わされて、総督になった主人公。武力に頼らざるを得ない場合は、苦肉の策としてゾロという別人格に成りすまして行使することに。それが圧政に苦しむ庶民にとっては義賊として人気が出る。
ただよく考えると庶民が苦しんでいるのは、統治する側の人間たちの圧政なのだから、そのトップである総督だったら普通に部下を厳しく指導するだけで事足りそうな気もしてしまう。それでも義賊を登場させたいのなら、そんな行政のトップダウンの指導では見落とされがちな人たちを助けるという形にしたほうがいい。
水戸黄門や暴れん坊将軍なんかも、組織の末端の人間の悪事を懲らしめていたはず。組織の中枢の腐敗であれば、わざわざ義賊を出すより、直接トップが口を出したほうが手っ取り早い。ゾロに扮した主人公が庶民のための市場をめちゃくちゃにしながら悪者と戦っている姿を見ると、余計そう思った。一応、軍部のトップに問題があるので、反発にあうと自分の身が危ないという筋にはなっているが。
映画は古い映画だけに冗長さやメリハリのなさが目立つ仕上がり。ただこのころの人にとっては、たっぷりと映画スターを見られるだけでも幸せだったのかもしれない。最後の主人公と敵との対決は延々と続けられて、やっていることはスリリングなのだが、それも長く続くと飽きてくるという不思議な感覚に陥った。それでも、最後はしっかりとアランドロンの映画スター感のある構図で決めてくるのは流石だった。
スタッフ/キャスト
監督 ドゥッチョ・テッサリ
原作 快傑ゾロ (角川文庫)
出演
オッタヴィア・ピッコロ