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「八つ墓村」 1996

八つ墓村

★★★☆☆

 

あらすじ

 自身がある村の資産家の息子だということを知らされた青年。当主に請われて訪れた村で次々と殺人事件が起きる。127分。

 

感想

 山奥の村の資産家の跡継ぎ候補の一人だと知ってやってきた青年。血縁関係者とはいえ、誰ひとり知らない家の中へ入っていくのは心細い。そしてそこには寝たきりの兄や白髪で小柄な双子の大叔母とどこか不気味だ。

 

 さらには親族関係がややこしい。簡潔なセリフで一気に説明するものだから、ぼーっとしていると置いていかれてしまう。戻して止めてを繰り返し、なんとか把握できた。

 

 

 1977年版の「八つ墓村」では、尼子一族の落ち武者狩りや先代の32人殺しなどに関する祟りや村の因習といったおどろおどろしい雰囲気が満ちていたが、今作ではそんなにそれは感じなかった。

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 一応は監視する村人や狂人のような老婆、祟りをほのめかすセリフなどが登場するが、刑事は取り合わず一笑に付すだけだ。関係者も誰もそれに乗らず、ものものしい雰囲気になっていきそうな所をことごとくピシャリと遮断してしまう。もしかしたら、1977年版に対抗して敢えてそうしているのかもしれない。

 

 それにしても、次々と殺人事件が起きているのに、一族の者たちが誰も次に殺されるのは自分かと恐れていないのが不思議だった。誰が犯人かすら気にしてない。警戒して慎重な行動を取るでもなく、いつも通りの生活をしてあっさりと殺されていく。

 

 しかし、メインどころの出演者が浅野ゆう子や宅麻伸で時代を感じる。そして、2時間もののサスペンスドラマぽさもある。崖の上でこそなかったが、ラストの犯人の独白もそれっぽかった。

 

 それと岸田今日子が演じる双子の老婆。白髪で腰が曲がり小柄、いつも二人一緒でゆっくりと動く姿が不気味さを醸し出していたのだが、ワンシーンだけ思いのほか素早い動きを見せていて笑ってしまった。心なしか腰もまっすぐに伸びていたような気がする。

 

 そして豊川悦司演じる主人公の金田一耕助。何もしていない。いや何もしていないは言い過ぎかもしれないが、ほとんどの犯行が終了してから事件のあらましを説明されてもしょうがない。途中で犯行を阻止しろよと思ってしまった。途中で事件が止まってしまうと中途半端になってしまうから、物語の上で彼はただのセリフ回しで、最後の取りまとめ役として見守る役割なのだろうが、名探偵感はこれっぽちもなかった。

 

 連続殺人を行った犯人は確かに悪い奴だが、この映画の中で一番酷いのは、青年の母親を手籠めにして家に閉じ込めていた先代の当主だろう。しかも、人知れずそんな事をしていたわけでなく、家族や村の人間たちもそれを知っていたのに見て見ぬふりをしていたという事実。祟りとか村の云い伝えとかよりもそれが一番怖かった。もしかしたらこの映画はそれを一番強調したかったのかもしれない。 

 

スタッフ/キャスト

監督/脚本 市川崑

 

原作 八つ墓村 横溝正史自選集

 

出演 豊川悦司/浅野ゆう子/高橋和也/宅麻伸/岸田今日子/岸部一徳/萬田久子/喜多嶋舞/加藤武/白石加代子/神山繁/吉田日出子/石倉三郎/石橋蓮司/西村雅彦/うじきつよし/井川比佐志/小林昭二/大沢さやか/今井雅之/諏訪太郎

 

八つ墓村

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  • 豊川悦司
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八つ墓村 (1996年の映画) - Wikipedia

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