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「指輪をはめたい」 2011

指輪をはめたい

★★☆☆☆

 

あらすじ

 頭を打って記憶を失った男は、三股をかけていた女性たちの中で誰が意中の女性だったかを思い出そうとする。

 

感想

 三股をかけていたが、記憶喪失で指輪を渡そうとしていた意中の女性が誰だったのかを思い出せない主人公が、その女性を探す物語。じっくりと女性達を観察してみたり、あえてしばらく距離を取って誰が最初に恋しくなるか試してみたりと、色々な試行錯誤をしてみせるのだが、正直、観ているこちらは全然話に入っていけない。なぜなら、記憶喪失になってしまったら、まず最初に自分が何をしようとしていたのか、その記憶を取り戻そうとするはずだと思うから。

 

 それをしないで、なぜいきなり結婚をしようとしているのかがよく分からない。指輪があるのだから結婚をしようとしていたのだろうと思うのは分かるが、状況が変わった今、それでも何よりも優先して結婚を急ぐ意味が分からない。まず記憶を取り戻せば、おのずと誰が意中の女性だったかも明らかになるのに。タイトルにもしているくせに、「指輪をはめたい」理由は全然説明してくれない。

 

 

 しかもその意中の女性の探し方が、記憶を失う前は誰が意中の女性だったのだろうという探し方ではなく、一旦フラットな気持ちで再度、女性たちを観察・評価してみようという態度。ずいぶんと余裕のある悠長な態度だ。三股をかけているという緊張感も感じられないし。どうせ記憶を失ったのだから一旦リセットしてみようという考え方も分からなくはないが、それだとやっぱり結婚を急ぐ理由が分からない。

 

 こんな風に話の出発点が納得できないものだから、その後にファンタジーな演出をしようが、とぼけたギャグを織り交ぜようが、全然心に響いてこない。そんな事よりもなんで急いで結婚しようとしているのだろうと不思議に思う気持ちが、常に心を支配してしまっていた。映画全体がずっとひとりよがりで空回りをしている印象になってしまっている。

 

 そしてようやく主人公の記憶が戻って真相が明らかになり、ようやく映画が終わるのかと思ったら、そこからがまた長い。女性たちひとりひとりの想いを成仏させ、そして主人公の気持ちを成仏させてエンディングへ、という生真面目さ。大体想像がつくことばかりで蛇足感が半端なかった。

 

 山田孝之演じる主人公の優柔不断でナヨナヨした言動をずっと眺めるだけの映画。その中で印象に残ったのは、二階堂ふみはアイススケートが上手だな、という事くらい。元々やっていたのかと思ったが、どうやら撮影前に猛練習をした結果という事らしい。彼女は今後アイススケートをする役が来ても大丈夫なはずなので、そういう意味でこの映画は役に立ったのかなと思わなくもない。

 

スタッフ/キャスト

監督/脚本 岩田ユキ

 

原作 指輪をはめたい (文春文庫)


出演

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小西真奈美/真木よう子/池脇千鶴/二階堂ふみ/山内健司/マギー司郎/水森亜土/前野朋哉

 

音楽 加羽沢美濃 

 

指輪をはめたい - Wikipedia

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