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個人的な映画・本・音楽についての鑑賞記録・感想文です。

「ミックス。」 2017

ミックス。

★★☆☆☆

 

あらすじ

 元選手だった母親のスパルタ教育に嫌気がさして卓球をやめ、普通の人生を目指していた女は、恋破れて実家に戻り、再び卓球をすることになる。

 

感想

 開始からしばらく、新垣結衣の可愛いところを見せておけば皆喜ぶのだろう、とでもいうような、製作者側の安易な思い込みが感じられるシーンが続く。冷静に観てしまうと大して面白くなかったりするのだが、妙に豪華な出演陣という事もあり、なんとなく楽しそうな雰囲気を漂わせながら物語は進行する。そんな中で、蒼井優のガサツな中国人役はちょっと笑えたが。

 

 しかしそんな雰囲気も中盤でがらりと変わり、一気に重苦しくなる。楽しいばかりでは物語の収拾がつかなくなるというのは理解できるのだが、中盤でそれは早すぎる。時計を見て、まだめちゃくちゃ時間が残っているよとつらい気持ちになってしまった。そういうのはクライマックスの手前にちょっとやるぐらいでいい。主人公の運営する卓球クラブのメンバーたちのバックグラウンドが描かれていくのだが、皆ことごとく何かを背負っていて、卓球とはそんな悲壮感を抱えてやらなければいけないスポーツなのかと疑問に思ってしまった。楽しいからやってます、では許されないような空気になってしまっている。

 

 

 それから団体戦でもないのに、あるペアが大会の出場を取りやめたら、他のペアも皆同じように出場をやめたのもよく分からなかった。他のメンバーもそれまで頑張って来たのだから、普通に試合に出ればいいのにと思うのだが、卓球人にしか分からない謎の掟のようなものがあるのかもしれない。

 

 クライマックスは主人公ペアと因縁があったライバルペアとの対決。映画の途中で主人公が、「才能があってずっと練習してきた人間に、ブランクのある人間が勝てると思っているなんて、卓球を舐めすぎてる」と呪いをかけていたので、結果は予想出来ていたのだが、そんなブランクのある人間が、県大会とは言え決勝に進めてしまう時点で、十分に卓球を舐めているようにも感じる。でもどうせなら、そんな映画内で設定した枠組みを自らぶち壊して優勝してほしかった。そこまでやったら呆れて逆にあっぱれだと思ったかもしれない。

 

 そして、この主人公ペアに恋愛要素を入れる必要があったのかも疑問だ。スポーツと恋愛をごっちゃにしてしまう感じが、まるで公私混同をする人を見ているようで気持が悪い。実際にそうなるペアもいるのだろうが、当然のようにそういう目でみられたくないペアがほとんどだろう。この映画を観ると、卓球というスポーツに対するイメージが色々と変わるかもしれない。悪い意味で。映画には伊藤美誠ら本物の卓球選手たちが何人か出演していたが、この映画を観てどう思ったのか、本当の感想を聞いてみたい。

 

 どこかで見た事のあるようなシーンの詰め合わせ、といった映画で、深く考えなければそれなりに楽しめるだろう映画ではある。でも、自分の夢を娘に押し付けていた母親や、瑛太演じる男が職場でうけていた嫌がらせまでいい話にしてしまおうとする強引な姿勢は、適当過ぎてさすがに腹立たしいものを感じてしまった。

 

スタッフ/キャスト

監督 石川淳一

 

脚本 古沢良太

 

出演 新垣結衣/瑛太/広末涼子/瀬戸康史/永野芽郁/佐野勇斗/森崎博之/山口紗弥加/中村アン/久間田琳加/斎藤司/鈴木福/谷花音/平澤宏々路/真木よう子/吉田鋼太郎/田中美佐子/遠藤憲一/小日向文世/伊藤美誠/木造勇人/吉村真晴/浜本由惟/石川佳純/水谷隼

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