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「二代目はクリスチャン」 1985

二代目はクリスチャン

★★☆☆☆

 

あらすじ

 教会で暮らすシスターは、結婚相手のヤクザの男が殺されてしまい、彼が継ぐはずだった組の跡目を継ぐことを決意する。101分。

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感想

 教会のシスターがヤクザの組長となる物語だ。彼女が組長となって活躍する様子がさっそく見られるのかなと思っていたら、まずは彼女が跡目を継ぐまでの経緯がじっくりと描かれていく。

 

 描かれるのは、ヤクザの後継ぎと刑事による彼女をめぐる争いや、彼女の気を引こうと組員を使って教会の手伝いをする様子、またそんな組を乗っ取ろうとするライバルの動きなどだ。だがこれらが別に笑えるわけでもドラマチックなわけでもなく、ただただつまらない。どうでもいいからさっさと二代目を継いでくれよ、と願う辛い時間が一時間ほども続く。

 

 

 そしてようやく主人公であるシスターが跡目を継ぎ、これで面白くなるかと期待したのに、やっぱりつまらないままだった。二代目になったからと彼女が何か特別なことを始めるわけでもなく、ただこれまで通りの生活を続けるだけなので当たり前だ。何も起きない。しかもその間も敵にはやられっぱなしで、それを放置してもいる。

 

 そんなことでは敵が調子に乗るのは当然のことで、最終的には駆け引きもなく普通に攻め込まれ、窮地に立たされてしまう。元々狙われているのは分かっていたのだから、信仰的に暴力は無理というのなら話し合いをするなり誰かの力を借りるなり、何らかのアクションを起こさなければならなかった。

 

 要は武器を持たないのならゴリゴリの外交をしろよという話だ。それなのに何もせず、いざ攻撃されたら鳩が豆鉄砲食ったような顔をして慌てられてもこちらが困惑するだけだ。結局、最終的に主人公はブチ切れて、武器を持って相手陣営に乗り込むのだが、それはキリスト教的にどうなの?だったら今までは何だったの?と呆れてしまった。

 

 そして仁侠映画風のクライマックスが訪れる。今まで武器なんて持ったことがないはずの主人公が、演じるのが志穂美悦子だからというだけの理由でキレッキレのアクションを突然見せたりしたら噴飯ものだなと身構えていたのだが、ちゃんと素人らしい不器用な動きを見せていたので逆に感心してしまった。

女必殺拳

女必殺拳

  • 志穂美悦子
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 彼女が、刀の扱いはままならないが父親譲りの豪胆さだけで何とか戦えているのですという感じがひしひしと伝わってくる動きを見せていて、これはこれで見ごたえのあるアクションとなっていた。そしてなぜか彼女に付きそう刑事役の柄本明が、松田優作みたいでカッコいい。

 

 最後が良かったのでそんなに余韻は悪くないが、そこに至るまでの序盤・中盤はもっとなんとかならなかったのかなと思ってしまう映画だ。

 

スタッフ/キャスト

監督 井筒和幸

 

脚本 つかこうへい

 

原作 二代目はクリスチャン (角川文庫 緑 422-15)


製作 角川春樹

 

出演 志穂美悦子/岩城滉一

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蟹江敬三/室田日出男/かたせ梨乃/月丘夢路/山村聡/北大路欣也*/松本竜介/成瀬正/三谷昇/中島葵/梅津栄

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*特別出演

 

二代目はクリスチャン - Wikipedia

- YouTube(期間限定無料配信:24/10/25(金)19:59まで)

 

 

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