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「ドレミファ娘の血は騒ぐ」 1985

ドレミファ娘の血は騒ぐ

★★★☆☆

 

あらすじ

 憧れの先輩を追って東京の大学にやって来た少女。

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感想

 高校の憧れの先輩に会うために東京にやって来た少女が主人公だ。演じる洞口依子が、幼い面影を残しつつ、思春期の少女の不満も表しているような良い表情をしている。それを際立たせるような構図や撮り方もしていて、彼女の存在感が強く印象に残る。

 

 それから大学教授役で伊丹十三も出演している。これまであまり彼を二枚目だと思ったことはなかったが、この映画での彼は男前だ。これで身長が180センチもあるのだから、それは海外の映画にも呼ばれるわと色々納得した。彼の役者としてのイメージは、「家族ゲーム」のみみっちい父親役くらいしかなかったので、認識が変わった。

 

 奇妙なシーンやシュールなシーンをコラージュしたようなゴダール的というか、この時代によく見られたスタイルの映画となっている。もともと日活ロマンポルノのつもりで製作したらしく、そっち方面の描写も多くて混沌に拍車をかけている。物語というよりもそれぞれのシーンを楽しむ感じで、だが不思議と見ていられる。憧れの先輩が仲間と歌の練習をしていて喧嘩を始めるシーンは可笑しかった。

 

 

 憧れの先輩や東京、そして大学に大いなる希望を抱いていた主人公が、その現実を知っていく。少女は最初失望するが、そんなに悪いところではないと思い直すようになる。

 

 大学生はモラトリアムで暇を持て余し、欲望に溺れたり、馬鹿なことに心血を注いだり、無駄に思考を巡らせたりする。一見、無意味に思えるが、長い人生にこういう時期は必要で、その経験が後で活きてきたりする。たまにそこから抜け出せなくなってしまう人もいるが。それが許容される余裕のある社会であって欲しいものだ。

 

スタッフ/キャスト

監督/脚本 黒沢清

 

脚本 万田邦敏

 

出演 洞口依子/伊丹十三/麻生うさぎ/加藤賢崇

 

ドレミファ娘の血は騒ぐ - Wikipedia

 

 

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