★★★☆☆
あらすじ
刑期を終え出所したヤクザの男は、芸能事務所を始めた組長の指示により、ある女性をスターにするため奮闘する。
感想
やくざの世界を舞台にしたコメディ映画だが、正直あまり笑えない。笑えるような空間が作れておらず、すべてが流れていってしまう。そもそもどこが笑いどころかすら分かりにくかった。
主演の横山やすしも演技自体は良いのだが、案外コメディーシーンは下手だ。とりあえずなんでも威勢よくやってしまうので緩急がない。もしかしたらコントもちゃんとできないのでは?と疑ってしまった。彼は上手く操ってくれる人がいてこそ輝くのかもしれない。
笑えない笑い中心の前半はかなり辛かったが、歌手として売り出すことを任された組長の女との許されぬ恋が展開する後半はだいぶ見れるようになった。ただ見れるようになっただけで、特段面白くなったわけではないのだが、とりあえず気分は落ち着いた。
そんな中で突然挿入される雨の中のダンスシーンが印象的だった。同年公開された「フラッシュダンス」の影響なのか、クラシックなミュージカル映画を意識したのか分からないが、唐突なダンスシーンに最初は薄ら寒さすら感じていたのだが、長々とやっているうちに段々とありだな、と思っている自分に気づいた。こういうのは中途半端にやると駄目で、やり切ることが大事なんだと実感した。
途中ボートを使った海上でのチェイスシーンがあり、そういえば横山やすしといえばボートだったなと思い出したり、チョイ役で出ている若い頃の明石家さんまや島田紳助の姿が見られたりして、それなりに楽しめる娯楽映画だった。横山やすしの特異なキャラクターを愛でる気持ちで見ればいいのだと思う。
スタッフ/キャスト
監督 曽根中生
脚本 桂千穂/内藤誠
出演 横山やすし/伊東四朗/桑名正博/甲斐智枝美/斉藤ゆう子/木村一八/佳那晃子/風祭ゆき/岡本信人/荒勢/成瀬正/阿藤海/安岡力也/なぎら健壱/深水三章/小野ヤスシ/中島ゆたか/結城哲也/南方英二/山根伸介/夏木ゆたか/ダンステリア/島田紳助/明石家さんま/杉浦直樹