★☆☆☆☆
あらすじ
別の惑星へとつながる門の解読をした考古学者は、軍隊の部隊と共に現地に赴く。
テレビドラマの「スターゲイト」シリーズへとつながる最初の作品。121分。
感想
エジプトの古代遺跡で発見された輪を通り、別の惑星へ行った一行の物語だ。序盤の遺跡での輪の発見やその解読、そしてその輪をくぐって現地へと向かう過程にはワクワク感があった。だがそこからが良くない。
まずゲートから出た先のピラミッド内の様子がチープで萎える。別のシーンはそこまで酷くなかったので、無機質な四角い石柱が等間隔で並ぶ設定は敢えてなのだろう。工業製品のように同じ石柱を量産できるのは、確かに高度文明の証かもしれないが、なんの意匠もないので安っぽいビルの内部のようにしか見えなかった。
どうせならもっとスターウォーズ的なツルツルでテカテカな近未来感溢れるものにすれば良かったが、そうするとこの映画が目指しているエジプトの古代文明のような世界観が失われてしまうので難しいところである。だがもうちょっと工夫の余地はあったはずだ。
そして、主人公らがこの惑星で何をやりたいのか、その目的がないのも辛い。とりあえず行けるのなら行ってみたいという冒険心的なものは理解できるが、物語の方向性が分かるような何かを用意して欲しかった。
古代文書に記されているお宝を探すとか、謎の鉱物を持ち帰るとか何でもいい。一応用意されていた地球に戻るためのコードを解読する、という目的では弱すぎだし、後ろ向きすぎる。全く心惹かれない。
さらには主人公に愛嬌がなく、その仲間や敵役も含めて登場人物の誰にも魅力がないというのもネックになっている。ラクダ的な謎のクリーチャーですらそうだ。誰にも感情移入できず、第三者的なフラットな立場でしかで見ることが出来なかった。唯一良かったのは、主人公の前にはじめて現れた時の、軍人役のカート・ラッセルの角刈りが芸術品のように見事で面白かったことくらいだろうか。
そんな面々によって勃発したレジスタンス的な戦いには、正直なところ、知らんがなと冷めた目で見ることしかできなかった。彼らがいくら一致団結しようが、ヒロイズムを発揮しようが、何にも感じなかった。
ベタではあるがエジプトの古代文明には宇宙人が関わっており、壁画などに見られる謎の生物の正体はそれだった、みたいな話は多少面白かったが、全体的には面白い要素を丁寧にすべて取り除いた「スターウォーズ」といった印象の映画だ。終盤の全く展開に興味が持てない虚無感はすごい。
スタッフ/キャスト
監督/脚本 ローランド・エメリッヒ
脚本 ディーン・デヴリン
出演 カート・ラッセル/ジェームズ・スペイダー/ジェイ・デヴィッドソン/ヴィヴェカ・リンドフォース/レオン・リッピー/ジョン・ディール/フレンチ・スチュワート/リチャード・カインド