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個人的な映画・本・音楽についての鑑賞記録・感想文です。

「億万長者」 1954

億万長者 [DVD]

★★★★☆

 

あらすじ

  人畜無害の税務署署員が、人が良すぎる上に不正をしてしまうが、開き直って世の悪事を暴こうとする。

 

感想

 冒頭は「日本新名所」として、戦後日本で見られるようになった光景を、小ネタを挟んで紹介していく。このまま最後までこんな調子かと少し不安になったが、そんな事はなく本編が始まり安心した。そして、この冒頭の短いシーンのつなぎ合わせが、本編の伏線になっていて上手い構成だ。

 

 しかし、取り扱っているテーマが政治の腐敗や貧困、人口増、原爆とかなり社会派。それをかなりきつめの笑いを取り入れて描いていてちょっと感心してしまった。今でも、なのか、今また、なのか分からないが、政治の腐敗や収賄、官民の癒着があるわけだから、こんな世相を斬るような強烈な作品が出てきてもおかしくはないはずなのだが、今はそういう環境が整っていないというのだったら劣化しているということなのだろう。

 

 

 登場人物たちは皆強烈だが、なかでも貧乏子だくさん一家の2階の下宿で、一人で原爆を製造する女がインパクトがあった。しかも、家族全員を広島の原爆で失った彼女の言い分が、平和を維持するために原爆をつくる、だからなかなか。今でもそういうことを言っている人は多いが。

 

 笑いを散りばめながらも、最後はうまくまとめていい話になるのかと思ったら、最後まで滅茶苦茶だったのが好感を持てる。なんなら終盤が一番暗くて酷い。貧乏過ぎて死ぬことも出来ないなんて、もはや皮肉過ぎて笑えないのだが、でもそれがグッとくる。

 

 終盤のマグロを食べたら死ぬ、のくだりが良く分からなくて、昔はマグロをあまり食べなかったと聞いたことがあるので、それに関連してそんな言い伝えがあるのかな、と思ったら、「原爆マグロ」というものがあったらしい。これも時事ネタだった。

築地市場に埋められた「原爆マグロ」を知っていますか?(BuzzFeed Japan) - Yahoo!ニュース

 

スタッフ/キャスト

監督/脚本 市川崑

 

出演 木村功/久我美子/山田五十鈴


音楽 團伊玖磨
 

億万長者 [DVD]

億万長者 [DVD]

  • 発売日: 2001/04/25
  • メディア: DVD
 

億万長者 (映画) - Wikipedia

 

 

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