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「ウインド・リバー」 2017

ウインド・リバー(字幕版)

 

★★★☆☆

 

あらすじ

 インディアン居住区で女性の遺体を発見した男は、駆け付けたFBI捜査官の女性に協力を要請される。

 

感想

 序盤の、遺体発見の報に駆け付けたFBI女性捜査官の場違い感がコミカルで面白かったのだが、あれは後から考えると、インディアン居留地という特殊な場所がいかに世間に無視されているかを表してもいたのだろう。

 

 彼女の空気を読めない感はしばらく続くが、FBIが犯人の事ばかり考えて被害者の感情を無視しがちというのは良くある話ではある。そんな中で、ネイティブアメリカンの被害者の父親が何を考えているのか分からない風に一瞬描いておいて、その後に娘を殺されて悲しくない親なんているわけないことを伝える描写をするのは巧みだった。見ているこちらも捜査官側に立っていて、彼らを理解できない別の世界の人間と突き放そうとしていたことに気付かせてくれる。

 

 

 ただ、捜査官と主人公の犯人探しの行方は意外とシンプルだった。雪の中に残されたスノーモービルの跡を辿ればいいだけという呆気なさだ。もしかしたら、それぐらいの事で分かるのにちゃんと捜査しようとすらしない警察機構に対する批判がこめられているのかもしれないが、この程度であれば、主人公は過去の自身に関わる事件も一人で解決できたのでは?と思ってしまった。事件の捜査の主導権もほとんど主人公が握っている。

 

 そして迎えたクライマックスの、犯人グループとの銃撃戦はかなりの迫力で見ごたえがあった。突発的に始まるのも良い。ただあの状況で撃ち合いを始めるのは、どう考えてもクレイジーすぎる。どうシミュレーションしても無傷ですむなんて絶対無理だ。

 

 それでも、その前にちょっとした前振りを用意して、そんなことをするなんてあり得ない、と拒絶したくなるほどにはさせないのは見事だ。ラストもしっかりと伏線が効いていて、被害者と犯人の違いを際立たせている。単なる殺人事件ではなく、インディアン居留地の闇を描いた物語となっている。

 

スタッフ/キャスト

監督/脚本 テイラー・シェリダン

 

製作 ベイジル・イヴァニク/ピーター・バーグ/マシュー・ジョージ/ウェイン・L・ロジャーズ/エリザベス・A・ベル


出演 ジェレミー・レナー/エリザベス・オルセン/グラハム・グリーン/ケルシー・アスビル/ギル・バーミンガム/ジョン・バーンサル


音楽 ニック・ケイヴ/ウォーレン・エリス

 

ウインド・リバー(字幕版)

ウインド・リバー(字幕版)

  • ジェレミー・レナー
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ウインド・リバー - Wikipedia

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