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「検察側の罪人」 2018

検察側の罪人

★★★☆☆

 

あらすじ

 殺人事件の捜査を進める中で、尊敬する上司が不審な行動を取り始めたことに気づいた担当検事。123分。

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感想

 時効となった殺人事件の犯行を認めた男をめぐる二人の検事の物語だ。被害者と親しく、男が罪を逃れたことに憤っていた上司は、捜査中の事件で再度容疑者に浮上した男を何としてでも逮捕・立件しようと躍起になり、それを部下の検事が不安げに見つめているという構図となっている。

 

 この男が捜査中の事件でも真犯人であったなら何の問題もなかったのだが、どうやら今回は違うらしいことが明らかになってくる。当然彼が犯人だろうと進んでいた物語が急展開する流れはスリリングだった。

 

 

 そして振り上げた拳の行き場を失った上司の暴走が始まる。ただその暴走ぶりが常軌を逸していて戸惑ってしまう。いくら正義のために戦っていた友人が志半ばで敗れたとはいえ、義憤でいきなり一介の検事がそんなことをするとも、出来るとも思えない。そうなるのに十分な説得力を与える何かが欲しかった。

 

 後半は、不可解な行動に気付いていた部下の検事が上司と対決するようになっていく展開で、面白くなりそうだとワクワクした。だが、案外とあっさりとしたものになっていて肩透かしだった。部下は、最初は戦うことなく背を向けただけだし、戦う気になった後は勝手に別のところから片が付いてしまった。

 

 もっと互いの正義がぶつかり合うようなバチバチとした展開が見たかったが、尻すぼみになってしまった印象だ。最後に二人が対峙した時の上司の言い分も、別にその件はあなたがやる必要はなくて、他の人に託せばいいだけでは?と思ってしまった。

 

 なんとなく、不祥事があっても私にはやるべきことがあるからと地位にしがみつき、決して辞めることのない厚顔な政治家を見るようだった。だから正義のもどかしさを表現するようなラストシーンにもグッとくることはなく、白けた気分だけが残った。

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 インパール作戦やその後に続く社会の欺瞞が随所に描かれており、見ごたえのある物語だっただけに残念感が強い映画だ。そんな欺瞞の一つとして世間を騒がせた芸能事務所が製作に関わり、所属していた役者が出演している映画であることには皮肉を感じるが。

 

スタッフ/キャスト

監督/脚本 原田眞人

 

原作 検察側の罪人(上) (文春文庫)

 

出演 木村拓哉

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吉高由里子/平岳大/大倉孝二/八嶋智人/音尾琢真/大場泰正/谷田歩/酒向芳/矢島健一/キムラ緑子/芦名星/山崎紘菜/松重豊/山﨑努/三浦誠己/阿南健治

 

編集 原田遊人

 

検察側の罪人

吉高由里子 - Wikipedia

 

 

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