★★☆☆☆
あらすじ
気付くと空から落下しており、慌ててパラシュートを開いて地上に降り立った軍人の男は、同様の男女と合流し、襲い来る謎の生物に抵抗する。
シリーズ第3作。エイドリアン・ブロディ主演、ダニー・トレホ、ローレンス・フィッシュバーンら出演。ロバート・ロドリゲス製作。107分。
感想
拉致されてプレデターの狩りのターゲットとなった男女の物語だ。設定された箱庭で、集められた人間が狩られないように逃げ回るサバイバルゲームとなっている。コミカルなシーンもあったりして、シリーズのこれまでのシリアスな雰囲気とは違い、どこかテレビゲームのような軽さがある。
訳も分からず拉致されたはずの主人公らが、すんなりと自分たちは狩りの獲物なのだと把握してしまうのもテレビゲームぽい。本来なら何が起きているのか分からずに、もっとビクビクするはずだ。彼らは軍人や殺人鬼など、殺しのプロばかりなので状況把握能力に長けているのかもしれないが、まずは慌てふためく人間らしさを見せてほしかった。起きているのは相当異常なことだ。
そしてプレデターが襲いかかって来ても特段驚くことなく、普通に戦ってしまうので面白みがない。気味の悪いモンスターが突然現れたわけだから、それについてのリアクションもしてよと言いたくなる。終始皆がどうすればいいのか分かっているような動きをすることに戸惑ってしまう。逃げる時もどこか冷静で、フィールド内を淡々と移動しているだけに見える。まるでゲームシナリオに沿って動くキャラのようだ。
エイドリアン・ブロディ演じる主人公と共に行動する仲間を演じるのは、ダニー・トレホやローレンス・フィッシュバーン、マハーシャラルハズバズ・アリ(マハーシャラ・アリ)など、なんでこのメンバー?と思ってしまうような意外性のあるキャスティングだ。だが彼らは大した見せ場もなく退場していく。勿体ない。
そんな中で、多様性の一環で一応メンバーに入れておきました、みたいな扱いで影が薄いように見えたヤクザの日本人には、たっぷりと見せ場が用意されていた。なぜかヤクザがサムライになる雑な日本人観ではあったが、ちゃんとした時代劇のチャンバラがしっかりと描かれる。監督はもしかしたら黒澤映画が好きなのかもしれない。ちょっと好感を持ってしまった。
クライマックスは主人公とプレデターによる一騎打ちだ。それまではどうにも中途半端なアクションばかりだったのだが、この対決は見ごたえがあった。エイドリアン・ブロディがアクションスターに見えてくる。この感じで中盤もやって、そのままクライマックスに突入して欲しかった。
最後は盛り上がったのでそれほど悪い印象は残らなかったが、それでも中盤の白けっぷりはしんどかった。最後に豹変したメンバーのサイコパスぶりも邪魔だったし、その言い分も理解しがたかった。それに足手まといは置いていくとか厳しいことを言ってたくせに女を助けたのも矛盾している。
スタッフ/キャスト
監督 ニムロッド・アーントル
脚本 マイケル・フィンチ/アレックス・リトヴァク
製作 ロバート・ロドリゲス/エリザベス・アヴェラン/ジョン・デイヴィス
製作総指揮 アレックス・ヤング
出演 エイドリアン・ブロディ/アリシー・ブラガ/トファー・グレイス/ダニー・トレホ/オレッグ・タクタロフ/ルイ・オザワ/ウォルトン・ゴギンズ/マハーシャラルハズバズ・アリ/ローレンス・フィッシュバーン/ブライアン・スティール/デレク・ミアーズ
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