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「ハンガー・ゲーム FINAL: レジスタンス」 2014

ハンガー・ゲーム FINAL:レジスタンス(字幕版)

★★★☆☆

 

あらすじ

 ハンガーゲームの勝者として反乱軍に迎えられた主人公は、次第に革命のシンボルとなっていく。

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 「ハンガー・ゲーム」シリーズ三部作の三作目で二部作の第一部。

 

感想

 前作までの殺し合いのバトルロワイヤル要素はなくなり、主人公が政府に抵抗する反乱組織のシンボルとなっていく様子が描かれていく。レジスタンス活動の士気を高めるために、主人公は皆の前で演説したり、病院を慰問したり、プロパガンダ用の映像に出演したりする。

 

 こうなってくる最初からレジスタンスの物語として描けばよかったのでは?と思ってしまうが、ハンガーゲームがなければ、若い主人公が革命のシンボルになる説得力のある理由が見つからないし、反体制側にもシンパシーを感じられなかったかもしれない。それにインパクトも無くなって、世間に関心を持ってもらえなかった可能性もある。そう考えると話のツカミとしては必要だったと言える。

 

 

 体制側の上級国民たちに搾取されて貧しい暮らしを余儀なくされ、挙句の果てには彼らの余興のために意味のない殺し合いまでさせられていた大衆がついに立ち上がり、革命運動を始める。体制側の人間や搾取される側なのになぜか体制側にいるつもりの気の毒な人たち以外であれば胸が熱くなる展開のはずだが、いまいち気分が盛り上がらないのは主人公のモチベーションがズレているからだろう。

 

 主人公の最大の関心事は、敵に捕らえられた相棒の男を救い出すことだ。革命ではない。だから彼を救出できるのならと反乱軍に協力しているだけのように見えてしまい、ついでのように描かれるレジスタンス活動には高揚しづらい。皆のシンボルのはずの彼女が、一致団結すべき反乱軍の結束に水を差してしまっている格好だ。

 

 それから反乱軍の動きが、実際の戦いよりもプロパガンダを描くことに重きを置いているのも要因の一つだろう。主人公の役割だからということもあるが、それだけ革命には士気を維持することが重要だということでもある。そういう意味では革命の教科書的映画とも言えて、実際に現実世界での抵抗運動で参考にされているのも肯ける。

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 単なるバトルロワイヤルから体制を倒すスケールの大きな物語へと発展したのに、その内実は相棒の男の安否だけを気に掛けるこじんまりとした物語になってしまっている。主人公が戦う姿もほぼ見れない。最後の大団円の前なので、あまり盛り上げすぎてもいけないのだろうが、それにしてもずいぶんと静かでおとなしい印象だ。

 

スタッフ/キャスト

監督 フランシス・ローレンス

 

脚本 ダニー・ストロング/ピーター・クレイグ

 

原作 ハンガー・ゲーム3 上マネシカケスの少女 (文庫ダ・ヴィンチ)

 

製作総指揮    スーザン・コリンズ/ジャン・フォスター/ジョー・ドレイク
アリソン・シェアマー


出演 ジェニファー・ローレンス/ジョシュ・ハッチャーソン/リアム・ヘムズワース/ウディ・ハレルソン/エリザベス・バンクス/ジュリアン・ムーア/フィリップ・シーモア・ホフマン/スタンリー・トゥッチ/ドナルド・サザーランド/サム・クラフリン/ジェナ・マローン/ジェフリー・ライト/マハーシャラ・アリ/ナタリー・ドーマー/エヴァン・ロス/ウェス・チャサム/エルデン・ヘンソン/ロバート・ネッパー/サリタ・チョウドリー

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ハンガー・ゲーム FINAL: レジスタンス - Wikipedia

 

 

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