★★★☆☆
あらすじ
クリスマス目前にサンタが誘拐され、護衛隊長の男と知らず事件のきっかけを作ってしまったハッカーの男がその行方を追う。123分。
感想
序盤のプレゼントをラッピングし、各配送先への仕分けをするなど、クリスマスの準備を進めるサンタチームを描くシーンが面白い。忙しさで皆気が立っていて、部門間でちょっとしたいざこざが起きるところなども笑えた。年末になると、どこでも見られる光景だ。
そんな一年で一番忙しいクリスマスの前日に、サンタが誘拐されてしまう。サンタの護衛役とサンタを信じないハッカーの男が協力し、その行方を追うことになる。
ただ、あまりこの二人のコンビネーションに面白みがない。犯人にたどり着くまでのエピソードもピンと来ず、大事な中盤がそれほど盛り上がらなかった。犯人が悪者というよりも、もう一つの正義を主張する善人みたいになっているので、単なるイデオロギーの対立に見え、対決にもあまり力が入らない。クリスマス映画なので、良い話にしなければ、という強迫観念があるからなのかもしれない。
グリラ、クランプスといった誰それ?みたいなキャラが出てくるのも気分が乗れないところだが、どちらもクリスマスに関係のある伝統的なキャラのようだ。クランプスは「なまはげ」みたいなものらしく、これらは各キャラを元々知っているかどうかで楽しさは変わってきそうだ。
色々あるが、中盤の停滞の最も大きな要因は、サンタの存在感がなくなることだろう。拉致された時の様子は描かれないし、捕まった後も虐げられるわけではなく、ただおとなしく眠っているだけだ。僕たちのサンタに何をする!早く助けなきゃ、とはならない。切迫感がない。
ただ、悪人を懲らしめたいと考えていた犯人が、悪人として閉じ込められてしまう決着は皮肉が効いていた。悪いことをしたことがない人なんていない。他人をすぐに悪い奴だと糾弾する人は、高潔な人ではなく、自分のことも分からないような、ただの厚顔無恥な人でしかない。それでもコロッと騙される人がいるから困ったものだが。
事件が解決してクリスマスが訪れ、サンタの八面六臂の活躍ぶりが描かれるラストは、激し過ぎて笑ってしまった。サンタを疑う子供にちゃんと回答を用意し、彼らの夢を壊さないようにしているのは良い。子供向け映画としてはいいのかもしれない。
最初と最後は楽しいのに、真ん中が残念なクリスマス映画だ。チューバッカみたいなシロクマに期待したのに、たいした活躍がなかったのもがっかりだった。
スタッフ/キャスト
監督/製作 ジェイク・カスダン
製作/出演 ドウェイン・ジョンソン
出演 クリス・エヴァンス/ルーシー・リュー/J・K・シモンズ
キーナン・シプカ/ボニー・ハント/クリストファー・ヒヴュ/ニック・クロール
音楽 ヘンリー・ジャックマン