★★★☆☆
あらすじ
離婚問題を抱えた作家の男の元に、盗作されたと訴える怪しげな男が現れる。
感想
人里離れた湖畔の家に住む作家の男が主人公だ。住んでいる場所だけで主人公がどんな男か大体分かるな気がしてしまうが、作家というのは物語の題材にしやすいキャラクターなのかもしれない。基本的に仕事は一人で行っているし、どこにだって住めるし、いつも空想や妄想をしているしで、我々の身近にいてもおかしくなく、かつそれでいて我々とは違う人種だ。何よりその物語を作っている張本人の職業だからリアリティが半端ない。
離婚を控えた主人公の元に盗作されたと訴える男が現れて物語が始まる。これも作家あるあるなのだろう。最初は軽くあしらうも付きまとわれるうちに段々と不安を感じるようになる。ストーカーものかと思ったが、常にどこか奇妙な空気が漂い、しっくりとこない時間帯が続いた。
主演のジョニー・デップのクセのある演技もあって、もしかしてこれはコメディなのか?と思うような瞬間もいくつかあったが、事の真相が見えてくるにつれ、奇妙だった理由が分かってきた。ただそれでもかなりの停滞感があったので、もうちょっと工夫が欲しかった。やり過ぎてもあれなのでさじ加減が難しいが、色々と中途半端になってしまっていたような気がする
だがこの中だるみも、ジョニー・デップの魅力でかなりカバーできてはいる。他の役者だったらきつく感じたかもしれない。ちなみにこの映画で彼がかけているメガネがお洒落だ。今は亡きブランド「タート」の「アーネル」というモデルのようだ。
すべてが明らかになった後の終盤は面白かった。そしてそれが分かった上で振り返ってみると、最初に主人公の家の様子が映し出されるシーンやたばこの使い方など、よく考えられた演出が施されていたことに気付いて感心する。再度見てみると色々と新しい発見がありそうだ。
スタッフ/キャスト
監督/脚本 デヴィッド・コープ
原作 「秘密の窓、秘密の庭」 「ランゴリアーズ (文春文庫 キ 2-19 FourPastMidnight 1)」所収
出演
ジョン・タトゥーロ/マリア・ベロ/ティモシー・ハットン/チャールズ・S・ダットン/レン・キャリオー