★★★★☆
あらすじ
乗り合わせた列車内で殺人事件に遭遇した名探偵エルキュール・ポアロ。
感想
ケネス・ブラナー演じる主人公ポワロの髭が惚れ惚れするほど立派だった。昔は皆こんな風に髭を伸ばしていたのに、なんでいつの間にか誰もしなくなってしまったのだろう。背広の時に帽子をかぶるスタイルというのも見ることが無くなった。同じように今は普通の身だしなみだが、100年後には誰もしなくなっているものがやっぱりあったりするのだろうか。ネクタイがそうかなと思ったが、案外スーツ自体を誰も着なくなっていたりするのかもしれない。
そして、ベルギー人のポワロが話す英語はかなり訛りが強い。このケネス・ブラナーの演技は、ネイティブの人からするとクサく感じそうな気がするがどうなのだろうか。でもこの主人公の強い訛りの喋り方や無駄に立派な髭は、きっと容疑者を油断させるための作戦のひとつなのだろうなという気がする。
割と豪華な出演陣の中では、ジョニー・デップの相変わらずの存在感が印象的だった。出番は多くないし、特に何をするわけでもないのだが、ちょっとした仕草だけで人を惹きつけてしまう。見過ごせない引っ掛かりを必ず残す。その他の出演者たちもそれぞれに見せ場があって、こういう容疑者がたくさん生まれる密室の推理物は、役者にとって演じがいのあるジャンルの作品と言えそうだ。
終盤の謎解き場面での、画面いっぱいに容疑者たちが横一列に並んで座るシーンは、まるでレオナルド・ダヴィンチの「最後の晩餐」のようだった。壮観な映像で、これからクライマックスが始まるぞというワクワク感があって良かった。
以前にテレビでやっていた三谷幸喜脚本のドラマ「オリエント急行殺人事件」を観ていたので、最初から犯人が誰なのかは分かっていたのだが、それでも全然楽しめた。重くなりすぎず、誰もが楽しめそうなエンターテイメント作品に仕上がっている。続編が作られるのも納得だ。
スタッフ/キャスト
監督/製作/出演 ケネス・ブラナー
製作
マーク・ゴードン/サイモン・キンバーグ/ジュディ・ホフランド/マイケル・シェイファー
出演 ペネロペ・クルス/ウィレム・デフォー/ジュディ・デンチ/ジョシュ・ギャッド/デレク・ジャコビ/レスリー・オドム・Jr/ミシェル・ファイファー/デイジー・リドリー/トム・ベイトマン/オリヴィア・コールマン/ルーシー・ボイントン/マーワン・ケンザリ/マヌエル・ガルシア=ルルフォ/セルゲイ・ポルーニン
音楽 パトリック・ドイル
オリエント急行殺人事件 (2017年の映画) - Wikipedia
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