★★☆☆☆
あらすじ
国連で演説する予定のアフリカの独裁者を暗殺する計画を偶然聞いてしまった国連職員で通訳の女性は、シークレットサービスの男から尋問を受ける。129分。
感想
母国の独裁者の暗殺計画を聞いてしまった女性が事件に巻き込まれていく物語だ。ただ、主人公が独裁者の警護をする予定のシークレットサービスに事情聴取を受けるのは理解できるのだが、その後、彼女が徹底的にマークされてしまうのがよく分からなかった。
シークレットサービスは彼女の証言の信ぴょう性を確認したら、あとは暗殺を阻止するために全力を尽くすべきだろう。主人公に対しては、密談の目撃者である彼女を消そうとする犯人一味から守るための警護を付けるだけでいいはずだ。
それなのに暗殺犯の捜査よりも、主人公の過去の経歴から思想信条まで徹底的に調査しており、彼女にかかりっきりなのが解せない。計画が実行される予定の独裁者の国連演説の日が迫ってもずっとその調子だった。手がかりが主人公の証言しかなかったのでそうするしかなかったのかもしれないが、密談の場にいた可能性のある人物を調べるなど、他に出来ることはいくらでもあったはずだ。
やがて、ただの国連職員かと思っていた主人公に悲しい過去があったことが明らかになり、最近妻を失ったばかりのシークレットサービスの男がそれに次第に共鳴してく展開となる。ただここでも、ショーン・ペン演じるその男が、監視対象の主人公にいきなり最近妻が死んだことを打ち明けたのは違和感があった。情緒が不安定になっているからだろうが、私情を持ち込むなんていくらなんでもプロ失格だ。
最終的には、シークレットサービスの予感が的中する展開となっていくのだが、それだけにあらかじめそうなることが決まっていたかのような予定調和を感じてしまった。暗く重苦しいムードの中で繰り広げられる復讐の無意味さを描いた物語だ。重厚さはあるのだが、2時間かけて見た割には返ってくるものが少ない映画だった。
スタッフ/キャスト
監督/製作総指揮/出演*
*クレジットなし
脚本 チャールズ・ランドルフ/スコット・フランク/スティーヴン・ザイリアン
製作総指揮 アンソニー・ミンゲラ/G・マック・ブラウン
出演 ニコール・キッドマン/ショーン・ペン/キャサリン・キーナー/イェスパー・クリステンセン/イヴァン・アタル/クライド・クサツ/ロバート・クロヘシー/テリー・セルピコ/デイヴィッド・ザヤス