★★☆☆☆
あらすじ
宝石強盗で服役していた男は、かつてのメンバーに女体盛りの出所パーティーに招待されるが、そこで犯行当時に行方が分からなくなっていた宝石のありかを尋問される。
感想
女体盛りを前に裏切り者を拷問する密室劇。ただあまり密室劇の緊張感はない。裏切ったとされるターゲットがすでに決まっているので、登場人物たちが本当の裏切り者は誰だと疑心暗鬼になることはなく、ただそのターゲットに皆が拷問する様子を眺めるだけだ。登場人物たちの心理描写よりも、拷問する様子を楽しむ映画になっている。楽しめる人には楽しめるのだろう。
それから皆があっさりと死に過ぎなのが気になってしまった。最初からこの会合に乗り気じゃなかった男が、皆を集めたリーダーの裏の目的に薄々気づいていたのに、何の対策もしないで目論見通りやられてしまったり、彼がそんな風に言及していたのにも関わらず他のメンバーも同様な感じでやられてしまう。それに血の気の多い男が拷問相手を殺したのは口封じのためで、ここから新たな展開が生まれるのかと思っていたら、本当にただ血の気が多いだけだったとか、皆の死に方がしょうもなさ過ぎた。
そしてこの映画の最大の謎は、意味もないのになぜ女体盛りをしたのか?ということだ。いや意味があると言えばあったのだが、それは犯人たちにあったのではなく、映画の都合的に、制作者にとってはあったというだけだ。途中でメンバーの一人が指摘しているが、事件の話をするのに部外者がいるのはマズいし、必然性もないのに、敢えてそんな事をする意味がまったく分からない。もしかしたら、そこは意味なくやっていることを面白がって欲しかったところなのかもしれないが。
メンバーたちのいがみ合いが延々と描かれ続ける中、最後に部外者が突然登場して決着がつくという展開に、驚くというよりも白けた気分になってしまった。これまでの不自然な点から考えると、そうなるのだろうなと予想も出来てしまう。そもそもダイヤの行方も、そんな事なら事件当時にすぐに判明しそうなものだ。
「レザボアドッグス」を意識したのだろう映画で、音楽や雰囲気は良かったのだが、もうちょっとストーリーは練ってもらいたかった。期待させられただけに失望は大きい。
ちなみにメンバーを演じた中に、「スターウォーズ」のルーク・スカイウォーカー役でおなじみのマーク・ハミルがいたのだが、最後まで全然気づかなかった。見直してみると確かに彼だと分かるのだが、うまくキャラを作り込むことに成功している。
スタッフ/キャスト
監督/脚本/製作/編集 カーン・サクストン
製作総指揮/出演 トニー・トッド
出演 ノア・ハザウェイ/マーク・ハミル/ジェームズ・デュヴァル/コートニー・パーム/千葉真一/ジェフ・フェイヒー/マイケル・ビーン/ダニー・トレホ
音楽 フリッツ・マイヤーズ