★★★☆☆
あらすじ
日中戦争末期からその後の中国内戦下における3組の男女の物語。129分。
感想
物語が始まるのは1945年。終戦の年だと思って見ていたらその後も内戦が続き、この年以降が戦後だというのは世界共通の認識ではないのだなと今さらながら再認識した。中国も韓国もその後に内戦をやっているし、世界でも数えきれないほど戦争が起きている。
中国内戦下における主に国民党側の人々の様子が描かれていく。中国映画だからといって必ずしも共産党側を描くというわけでもないのかと意外な感じがした。だが、激しい戦場の中で劣勢に立たされた国民党側の主要人物らがボロボロになっていく中で、敵対する人民解放軍の新品同様の真っ赤な共産党旗が目立つことこの上なく、ちゃんと配慮はしているのだなと苦笑してしまった。はためくよねーと言いたくなるぐらい印象的にはためいていて、プロパガンダ臭がすごい。ただそれを除けば、戦場のシーンはさすがジョン・ウーと言いたくなるような迫力があって見応えがあった。
映画は文芸大作のような雰囲気を漂わせ、動乱の中で運命に翻弄される複数の男女の姿が描かれていく群像劇。その内容は良く言えば格調高いが、悪く言えば面白みに欠ける展開だ。これは共産党側を敵と設定してしまったことが影響していると言えるだろう。
本来であれば、敵を極悪非道なヒールとして描くことで観客の同情を誘い、主要人物らに感情移入させることが出来るのだが、この映画では敵の共産党を悪く描くことが出来ない。おかげで、基本的には敵も味方も善人ばかりとなってしまってドロドロとした人間の汚い部分を見せる人間が誰もおらず、どこか嘘くさい世界になってしまっている。悪意や裏切りが横行する混乱の中で、気高く生き、真実の愛を貫く人間がいるからこそ、人は感動するものなのに。
そして映画は第2部へ。最後にちょっとした予告が流れるのだが、「タイタニック」的なことが起きるようだ。映画の中盤で登場人物らが内戦を逃れて客船で台湾に避難するシーンがあり、短い時間ではあった映像が「タイタニック」ぽいなと一瞬思ったのだが、やはり意識していたということか。第2部も2時間以上あるので既に気は重いが、一応見るつもりではいる。
スタッフ/キャスト
監督/脚本 ジョン・ウー
出演
金城武/ソン・ヘギョ/ホアン・シャオミン/トン・ダーウェイ/長澤まさみ/黒木瞳
音楽 岩代太郎
The Crossing ザ・クロッシング - Wikipedia
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