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「探偵事務所23 くたばれ悪党ども」 1963

探偵事務所23 くたばれ悪党ども

★★★☆☆

 

あらすじ

 犯罪組織同士の取引現場が襲撃される事件が相次ぎ、自らの潜入捜査を警察に打診した探偵の男。

 

感想

 犯罪組織の違法取引現場への襲撃をくり返す集団に潜入した探偵が主人公だ。潜入先はいろんな犯罪者集団を敵に回すようなことをやっているだけに、メンバーに加わろうとする主人公を簡単には信用しない。

 

 あっさりと潜入を許してしまうよりはリアルでいいのだが、主人公を色々と調べたり試したりとかなりしつこい。潜入した主人公がいくつもの犯罪者組織を手玉に取って大暴れするのかと思っていたのに、映画の大半が集団からの疑いの目を晴らすことに費やしてしまっている。正体がバレてしまうのではと冷や冷やするスリルはあるが、受け身の防戦一方なので痛快さはない。

 

 

 それでも次第に、互いに騙されたふりをして相手を騙そうとするキツネとタヌキの化かしあいみたいな様相を呈すようになってきて、その食えない感じが面白くなってきた。両者ともはなから相手を信用する気がゼロなだけだろうという気もしないではないが。騙されてもくじけず、平気な顔で開き直っている宍戸錠演じる主人公のタフネスぶりがいい。厚顔無恥な態度でアクセス数を稼ぐYouTuberみたいだ。

 

 ラストは、必死に敵の攻撃を防いでいたら相手のオウンゴールで偶然勝ってしまった、みたいなあっけない結末だった。それでも結果オーライと、得意げにひと仕事終えた感を出し、颯爽と立ち去る主人公が面白い。途中で唐突に始まる歌とダンスのシーンも楽しかったし、発展途上の東京の街並みが見られるのも興味深く、それなりに満喫できるエンタメ作品だった。

 

 ところでエンディングの東京の街を俯瞰でとらえるショットは、霞が立ち込め、いかにもアジア的な雰囲気があったが、あれは霧なのか煙なのかそれとも土埃だったのか。今ではあまり見ないような感じだったので気になった。

 

スタッフ/キャスト

監督 鈴木清順

 

脚本 山崎巌

 

原作 探偵事務所23(新潮文庫)


出演 宍戸錠/笹森礼子/川地民夫/金子信雄/佐野浅夫/初井言榮

 

音楽 伊部晴美

 

探偵事務所23 くたばれ悪党ども - Wikipedia

 

 

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