★★★☆☆
あらすじ
麻薬ビジネスで大金を手にした男は若くして引退を考えるが、事業の売却をめぐって周囲で様々な騒動が巻き起こる。
感想
ヒュー・グラント演じる私立探偵が、主人公の側近にこれまでの経緯を物語るかたちで映画は進行する。物語のあらましを要所要所を再現しながら、それ以外はセリフで説明すればいいだけの便利な方法なのでわりとよく見るパターンだ。粋な会話でそれなりに面白くなっており、これ自体は悪くない。ただ、ほぼこの形で進行してしまうので段々と閉塞感が出てきてしまった。もうちょっと早めに切り上げて、通常のストーリー展開に戻して欲しかった。
早期引退を考える主人公の事業売却を巡って、悪党たちが暗躍する物語だ。なかなか豪華な出演陣が悪党たちを演じているが、その中ではコリン・ファレルが演じた若者集団を率いる男が印象的だった。チェックの洒落たトラックスーツを身にまとい、全然言う事を聞いてくれない手の焼ける若者たちに困った顔をしながらも、キッチリと彼らに代わって借りを返していく。まるで「ダイハード」の主人公みたいだ。
【こだわりの衣装⑤】#コリン・ファレル たちが着るトラックスーツは、一から作られた特製品!
— 映画『オペレーション・フォーチュン』公式 (@opf_jp) May 3, 2021
オリジナルのデザインを四種類作成。典型的な英国風のスーツ用生地をモダンなキルト地にして、更にプリントを施し、鮮烈な印象に仕立て上げています。#映画ジェントルメン#ジェントルメンスタイル pic.twitter.com/z8yg5Q41wW
同様のトラックスーツを着た彼に従う若者たちも、この年代特有のイキっているだけの未熟で世間知らずな雑魚キャラなのだろうと思っていたら、スマートでちゃんと強くて意外性があった。しかもすぐにその様子をSNSにアップしてアクセス数を気にするような今どきの若者感もある。なんだか笑ってしまうような可笑しみのある集団だった。
音楽やファッションのセンスがよくて雰囲気のある映画だったが、主人公が運の良さに助けられる場面が多くて、ストーリーとしてはあまりぱっとしない。閉塞感とも相まって消化不良感が残る。それに、入り組んだストーリーをしっかりと描くことに終始してしまって、よく考えれば主人公を含めて誰にもまともな見せ場がなかったようにも感じてしまった。惜しい映画だ。
スタッフ/キャスト
監督/脚本/原案/製作 ガイ・リッチー
出演 マシュー・マコノヒー/チャーリー・ハナム/ヘンリー・ゴールディング/ミシェル・ドッカリー/エディ・マーサン/ジェレミー・ストロング/サミュエル・ウェスト/フランツ・ドラメー/伊川東吾