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「The Crossing ザ・クロッシング PartII」 2015

ザ・クロッシング Part2:運命 (字幕版)

★★★★☆

 

あらすじ

 それぞれの事情や思いを抱えて、上海から台湾に向かう客船「太平輪」に乗り込む人々。1949年に起きた太平輪沈没事故を題材にしている。

太平輪沈没事故 - Wikipedia

 

感想

 前作のあらすじの紹介から映画は始まる。ただ、単純に総集編映像を流すのではなく、前作には無かったシーンを交えた映像で観客の興味を引くようになっている構成は上手かった。そしていつのまにか第2部の本編が始まっている。

 

 今回は主に台湾が舞台となっている。上海パートでも台湾に向かう人たちが明確に分かるように描かれているからか、前作で見られたような皆が善人、みたいな忖度はあまり見られなくなった。台湾政府が主導する赤狩りや理不尽な仕打ち、人の弱みにつけこむ男の登場など、混乱期のドロドロとしたリアルな人間模様が見られるようになり、登場人物たちが運命に翻弄されている感じがようやく出てきて面白くなった。

 

 

 そして主要人物らが様々な事情を抱えて一つの客船に集まり、運命の沈没事故へと物語は進んでいく。「タイタニック」と比べるとドラマは少ないが、でもそれを彷彿とさせるような迫力のある映像が続いてパニックムービーとして見応えがある。そして醜くも当然の、生きるために必死の行動をとる人々や、それでも高貴な行動をとる人々など、極限下における人々の姿もリアルだ。ただ自分の命を守るのも危うい状況で、一冊の手帳のために余計な体力を使うのはやめたほうがいいのでは、と思うようなシーンもあったが。

 

 細かいことを言い出したらたくさん言える映画ではある。ラストがなぜか、これは女たちの物語、みたいな雰囲気になっていたのが不可解だったり、チャン・ツィイー演じる女性の物語は人生がままならないことをよく表していてよかったが、前の男との関係にケリをつけた方が良かったのでは?と思ったり、それから長澤まさみを持て余したのか、彼女の扱いが奇妙なのも可笑しかった。だが映画全体としてみれば普通に楽しめた。

 

 そして冷静になってみると、この映画はこの第2部だけで全然良かったなというのが素直な感想だ。今思えば第1部は何だったのだろうと思ってしまうほど。第2部の序盤の前回のあらすじがよく出来ているので、第1部を見ずにこちらだけ見てもいいかもしれない。この映画は中国で大コケしたらしいが、1部2部に分けずに素直に2部をメインにしたひとつの作品にして、中国版「タイタニック」として公開すれば普通に大ヒットしたような気がする。欲をかいたのか忖度したのか知らないが、余計な事をしてしまった。

 

スタッフ/キャスト

監督/脚本 ジョン・ウー

 

出演

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金城武/ソン・ヘギョ/ホアン・シャオミン/トン・ダーウェイ/長澤まさみ

 

音楽 岩代太郎

 

The Crossing ザ・クロッシング - Wikipedia

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