BookCites

個人的な映画・本・音楽についての鑑賞記録・感想文です。

「片腕必殺剣」 1967

片腕必殺剣(字幕版)

★★★☆☆

 

あらすじ

 兄弟子らに妬まれ片腕を切り落とされた武術家の男は、恩人である師匠の窮地を救うために駆け付ける。

www.youtube.com

 

 香港映画。111分。

 

感想

 片腕の主人公が活躍する物語だ。まず彼が片腕となった経緯がすごい。そんなことで?という驚きと、そんな簡単に切り落とせちゃうの?という二重の驚きがあった。腕なんてそう簡単に切り落とせないはずだが、それなりに鍛錬を積んだ人間の怒りのこもった会心の一撃だったからなのだろう。

 

 その後は二つの武術の流派が対決する展開となるのだが、どちらの流派も、弟子たちが師匠の言うことを聞きやしないのが面白い。すぐに師匠の目を盗み、やってはいけないことをやって問題を起こしてしまう。

 

 

 ヤクザの世界と同じで、この世界も地元の手の付けられないような若者たちがやってくるところなのかもしれない。そして、日々の鍛錬に耐え、生き残ることが出来た者だけが風格を身にまとう。師匠による弟子たちの扱い方も、ヤクザの親分が血気盛んな子分を扱う様子とよく似ていた。

 

 中盤は、片腕となった主人公の訓練シーンが少しあるものの、メインは主人公以外で行われる二つの流派の戦いだ。特殊な武器を生み出した敵に、次々と主人公の兄弟弟子たちがやられていく。

 

 中には師匠のために弟子が身を挺して敵の情報を入手しようとする熱い展開もあったりするのだが、いかんせんその弟子たちの事前情報がゼロなので、まず誰?となってしまってあまり感情移入ができなかった。なんとなく察する事は出来るが、ちゃんと前振りはして欲しかった。

 

 そして敵が生み出した特殊な武器がなんかズルい。盾のような剣で、それで相手の剣を封じ込めておいて別の剣で切りつける戦法だ。サッカーの試合かと思っていたら急に手を使ってきたみたいな、それありなの?と思ってしまうような戸惑いがあった。

 

 だがこれは、日本刀一本でやり合う日本の剣術の試合をイメージしている自分が悪いのだろう。ブルース・リーだってヌンチャクで素手の相手と戦うこともあるし、互いに違う武器を手にする時もある。日本の剣豪でも二刀流で戦う者はいた。

bookcites.hatenadiary.com

 

 相手がそれに怒ってはいなかったので、きっとこの武器は中国武術のマナーには則っているのだろう。他の場面では、格の違う師匠格との戦いを遠慮したり、負けを認めることで慈悲を請うたりしていて、武士道的な何らかのルールのようなものが存在しているらしい事は窺える。

 

 あまり活躍の場がなかった主人公は、最後の最後に出番がやって来る。高倉健の任侠映画とよく似たスタイルだ。味方の窮地に颯爽と現れ、中ボスとラスボスをやっつけてしまう。流れとしては気持ちいいのだが、古い映画なのでアクションの演出が鈍重に感じてしまい、爽快感はなかった。効果音が少なく、無言で戦うので息苦しさがある。

 

 父親の形見の折れた剣で戦う片腕の主人公は、異形のヒーローだ。演じるジミー・ウォングは顔が小さく、まるでアニメのキャラクターのような佇まいでカッコ良った。その後のジャッキー映画などで、大物感を漂わせながら登場していた時はどこが良いのかさっぱりわからなかったが、若い頃はシュッとしていたのだなと、その人気の理由が分かったような気がした。

bookcites.hatenadiary.com

 

 

スタッフ/キャスト

監督/脚本 チャン・チェ

 

出演 ジミー・ウォング/リサ・ジャオ・ジャオ/ティエン・ファン

 

片腕必殺剣(字幕版)

片腕必殺剣(字幕版)

  • ジミー・ウォング
Amazon

片腕必殺剣 - Wikipedia

 

 

関連する作品

続編

続・片腕必殺剣 [DVD]

続・片腕必殺剣 [DVD]

  • ジミー・ウォング
Amazon

 

リメイク作品

 

 

bookcites.hatenadiary.com

bookcites.hatenadiary.com