★★★★☆
あらすじ
地元の英雄である兄がトレーナー、母親がマネージャーを務めるプロボクサーの男は、家族に振り回されて思うように結果を出せずにいたが、ある女性と出会ったことで風向きが変わり始める。
プロボクサー、ミッキー・ウォードの半生を描いた伝記映画。マーク・ウォールバーグ主演、クリスチャン・ベール、エイミーアダムス、メリッサ・レオら出演。デヴィッド・O・ラッセル監督。アカデミー賞作品賞を含む6部門ノミネート、助演男優賞、助演女優賞受賞。115分。
感想
成功を目指すボクサーの物語だ。だが序盤は、かつてスター選手をノックダウンさせて地元のヒーローとなるも今はクスリに溺れるトレーナーの兄、何かと口を出すマネージャーの母、彼らにまとわりつく7人姉妹、そして二人の父親と、情報量が多すぎてワチャワチャしている。
さらに主人公には離婚した妻との間に娘がいることも分かって、いったい彼らは何歳なのだ?と混乱に拍車をかける。ちなみに歳の差のある兄弟を演じるマーク・ウォールバーグとクリスチャン・ベールだが、実年齢は兄役のクリスチャン・ベールの方が年下だったりする。
それでもボクシングはちゃんとやるのかと思いきや、トレーナーの兄は練習時間になってもやって来ないし、試合に同行するのをグズるし、ファイトマネーのためにドタキャンした選手の代わりに10キロも体重差のある選手と戦わせるしで、とにかくグダグダだ。最初はあまりのカオスぶりにイライラしていたのだが、次第に呆れて笑えてくる。締まりのない展開を楽しむコメディ的な要素もある。
主人公はそんな家族に呆れながらも、仕方がないと半ばあきらめている。しかし普通ならこんなところ出て行ってやる!とかなりそうなものなのに、そうはならないのが偉い。家族を大事にするのはアイルランド系の伝統から来ているのだろうか。
だが新しく出来た恋人の後押しもあり、主人公はついに家族に見切りをつけ、自立していやっていくことになる。そして結果も出るようになる。ここでも、切り捨てられて怒っていたのに、それでもやっぱり主人公を応援する家族の姿に心が温かくなる。
そしてついに掴んだビッグマッチのチャンスに、改心して立ち直った兄ら一家と恋人が手を結び、共に戦うことになる。この展開には気分が盛り上がる。恋人も含めて、自分たちがアメリカの片田舎でくすぶる落伍者であることを認め、共に再チャレンジすることを誓っている。
クライマックスは運命を賭けた決戦だ。試合自体も見応えがあったが、リングのまわりで応援する家族や恋人たちの様子が熱かった。試合の状況を理解していない恋人に母親が解説してあげるなど、いつの間にか彼らの中のわだかまりも消えている。長年マネージャーを務めてきただけのことはある母親の貫禄も感じるシーンだった。皆がしっかりとそれぞれの役割を果たしていることが分かる。
そんな家族の中では、烏合の衆的でまったく役に立っていないように見える7人姉妹が面白かった。彼女らは役に立たないことをするという役割で、これも彼ら家族にとっては大事なピースなのだろう。意味なく賑やかで、少しミニオンズぽかった。
れっきとしたボクシング映画に仕上がっているが、定番の熱血スポ根ドラマにはなっていない点がユニークだ。そして、憎めない家族への愛情と結束が感じられる映画でもある。どうしようもない家族だが、やっぱり家族は家族だ。
スタッフ/キャスト
監督 デヴィッド・O・ラッセル
脚本 スコット・シルヴァー
脚本/原案 エリック・ジョンソン
脚本/原案/製作 ポール・タマシー
製作/出演 マーク・ウォールバーグ
製作総指揮 タッカー・トゥーリー/ダーレン・アロノフスキー/レズリー・ヴァレルマン/キース・ドリングトン/エリック・ジョンソン
出演 クリスチャン・ベール/エイミー・アダムス/メリッサ・レオ/シュガー・レイ・レナード/マイケル・バッファー
音楽 マイケル・ブルック
ザ・ファイター (2010年の映画) - Wikipedia
登場する人物
ミッキー・ウォード/ディッキー・エクランド/シュガー・レイ・レナード
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