★★★★☆
あらすじ
太古の時代からその時の最凶の生き物に仕えてきたミニオンズたちは、新たなボスを求めて代表者三名を旅立たせる。
「怪盗グルー」シリーズのスピンオフで、「ミニオンズ」シリーズの第一作目。
感想
ミニオンズが怪盗グルーに出会うまでが描かれる。冒頭で、太古の時代から彼らの生きる目的は最凶のボスに仕えることだった、と紹介されるのだが、彼らの無邪気で可愛らしい外見にはそぐわないリアリスティックな方針に思わず笑ってしまった。
そして彼らが初めて登場した「怪盗グルーの月泥棒」を見た時に感じた違和感は、これだったのかと納得した。悪党とつるむようなキャラではないように見えたのだが、そういう生存戦略ならば仕方がない。
恐竜や原始人などに仕えた後、自分たちだけで暮らし始めるも生きがいがなく、うつ状態に陥ってしまったミニオンズは、新たなボスを求める旅に代表者を送り出す。たくさんいるミニオンズを登場させ続けると収拾がつかなくなるので、その中の三匹だけをフィーチャーして物語をスッキリとさせる演出はさすがだ。
ただ、ミニオンズがスクリーン狭しとワチャワチャと終始駆け回り続けるカオスな映画も見たかったような気もする。ゲームの「ピクミン」もそうだが、似たようなキャラの集団が動き回る様子は、見ているだけで気持ちよかったりする。昆虫とかは無理なのでCGなどに限った話だが。
一応、旅立った三匹と同時に、残された大勢のミニオンズの様子も描かれるし、最終的には皆で合流するので、集団としての面白さもちゃんと担保されてはいる。
三匹は最凶の女盗賊を見つけ、ボスになってもらおうとするが、とあるきっかけで裏切ったと誤解され、攻撃されるようになってしまう。強い者にすがろうとするのはいいが、もしその強い者に敵とみなされ襲い掛かられたらどうするのだ?という命題を突き付けられたわけで、なかなか深い。
考えてみれば、長いものに巻かれるのは人間の常なので、ミニオンズは民衆のメタファーみたいなものだろう。権威主義者たちが権威に目を付けられた時、どんな行動に出るのかは興味がある。ミニオンズたちは何とか脅威から逃れた後、新たなボスを見つけ、再び無邪気に仕えようとしていたが。学ばないところは大衆ぽいかもしれない。
コミカルなシーンも多く、音楽も良いので、誰でも楽しめそうな内容となっている。子供はビートルズや月面着陸のネタを理解できるのか?と思うところはあるが、それはそれで何度見ても楽しめるポイントになって来るのかもしれない。教養が深まれば、より楽しめる。
スタッフ/キャスト
監督/出演(声) ピエール・コフィン/カイル・バルダ
出演 サンドラ・ブロック/ジョン・ハム/スティーブ・クーガン/マイケル・キートン/マイケル・ビーティー/アリソン・ジャネイ/ケイティー・ミクソン/スティーヴ・カレル/ジェニファー・ソーンダース/アンディ・ナイマン/真田広之/ジェフリー・ラッシュ
音楽 ヘイター・ペレイラ
関連する作品
スピンオフ元の作品
次作