★★★☆☆
あらすじ
ホテルで働く女は、学生時代からの親友がいなくなったことを受け入れられずにいた。
岸井ゆきの、浜辺美波、杉野遥亮ら出演。126分。
感想
ホテルのダイニングバーで働く若い女が主人公だ。序盤は彼女が何かに落ち込んでいる様子が描かれるが、それが何かは分からない。だが物語がすすむにつれて、親友の女性がいなくなってしまったこと、そしてそれが津波によるものだったことが徐々にわかってくる。
主人公はそれを受け入れられずにいる。確かに行方不明だと、まだ生きていると思いたいし、死んだと認めたくない気持ちになるのもよく分かる。だがそれはいつまでも主人公の気持ちを宙ぶらりんのままにさせてしまう。そして彼女の死を受け入れて先に進もうとする周囲に対しては、頭では理解しながらも、かすかに戸惑いも覚えている。
そんな現在の状況と同時に、主人公と親友が出会い、関係を深めていった過去の回想も描かれる。いつも支えてくれる親友の頼もしさや不思議な魅力に加えて、二人の間に横たわる微妙な感情も見て取れる。
終盤になると、今度は親友からの視線で二人の関係が描き直される。主人公の見ていた景色とは異なり、違う印象を与えるのが面白い。頼もしかった親友にも弱さが見え、皆誰しもが悩みや不安を抱えながら生きていることを痛感する。他人がそんな風に見えないのは、それを見せないように振る舞っているからに過ぎない。
そして親友から見れば主人公もまた、十分に頼もしい存在に見えていたのは興味深い。途中で退場したホテルの上司もきっと、主人公には見せなかっただけで、誰にも言えない苦悩を抱えていたのだろう。
様々な体験を通して主人公は少しずつ親友の死を受け入れていく。すべてのものは巡り巡って、彼女のいる海につながっている。ここではないどこかにいるように思えていた彼女の存在を、自分の中に感じられるようになった。そして主人公は新たな一歩を踏み出す。
なんとなくは伝わったが、ストーリーに曖昧さを感じてしまう映画だ。登場人物らの関係性も分かりづらい。意図的にぼやかしているのかもしれないが、雰囲気で誤魔化しているようにも見えた。
それから主人公はあまり他人に心を開かないように見えるのに、この個人的な出来事に関しては、結構ペラペラと周囲の人に喋っているのは違和感があった。自分にだけは気を許してくれたと男に勘違いさせる、モテる女みたいになっていた。
スタッフ/キャスト
監督/脚本 中川龍太郎
脚本 梅原英司
出演 岸井ゆきの/浜辺美波/杉野遥亮/中崎敏/鶴田真由/中嶋朋子/新谷ゆづみ/光石研


