★★★★☆
あらすじ
年明け未明の駅で、丸腰の黒人男性が警官に射殺された実際の事件を題材に、その男性が射殺されるまでの一日を描く。
感想
主人公は浮気もするし、無職だし、前科者でもある。だがそれだけじゃなく、娘を愛し、母親の誕生日を皆で祝い、見知らぬ人にも気さくに話しかけて親切にする優しい心も持っている。金のためにマリファナを密売しようとしたが、刑務所での苦い経験を思い出し踏みとどまってもいる。決してクリーンではないが、まっとうに生きようともがいている。黒人だからと一括りにして、皆同じと偏見の目で見るなよ、という監督の強い思いが伝わってくる。
新年の花火を見るために仲間たちと電車で出かけ、そこから戻る時に事件は起きる。車内でちょっとした騒動が起こり鉄道警官隊が駆けつける。新年だから張り切っているのか、その警官隊がとにかく高圧的だ。その態度に主人公たちも反発し緊張が高まる。そして突如、我を忘れたのか、警官の一人が発砲する。完全に数人で抑え込んでいる状態の主人公に対しての発砲は全く意味不明だった。理不尽としか言いようがない。
病院で治療を受ける主人公を見舞うために家族や仲間が集ってくる。いきり立つ現場にいた仲間たちや震える主人公の恋人を落ち着かせ、冷静に医師ともやり取りする母親の毅然とした態度には胸を打たれる。ただ、主人公たちが車ではなく電車で出掛たのは母親の助言だったことを考えると、やり切れない思いだろう。
なんでこんな良い奴が警官に殺されなきゃいけないんだと憤りを覚える。父はどこにいるの?と母親に尋ねる幼い娘のまっすぐな視線が痛かった。
スタッフ/キャスト
監督/脚本 ライアン・クーグラー
製作 フォレスト・ウィテカー/ニナ・ヤン・ボンジョヴィ
製作総指揮/出演 オクタヴィア・スペンサー
出演 マイケル・B・ジョーダン/メロニー・ディアス/アーナ・オライリー/ケヴィン・デュランド/チャド・マイケル・マーレイ